http://www.arataniurano.com
現代美術シーンで活躍してきた2人のディレクターによって中央区新富に新しくオープンしたギャラリー「ARATANIURANO(アラタニウラノ)」。
第二弾となる展覧会では、渡辺豪の新作個展「境面」が開催される。
「very very human」展(2005年、豊田市美術館)および、メディアシティ・ソウル(2006年、ソウル美術館)で紹介されるや注目を集め、本年は、「美麗新世界:当代日本視覚文化」(北京/広州)、「Have You Eaten Yet - - 2007 Asian Art Biennial」(国立台湾美術館)などのグループ展に立て続けに参加するなど、目覚ましい活躍を見せる若手作家・渡辺豪の、東京では初の個展となる。
渡辺豪(1975年兵庫県生まれ)は、これまで、頁数以外何も書かれていない真っ白い書物、女性モデルの顔面に白い化粧を施し、白い鬘を被せた真っ白いポートレイト作品などを発表してきた。
「フェイス(“ポートレート”-10」 2006年
デジタルプリント、半透過性フィルム、ライトボックス H135×W123×D20cm
近年では、そこから更に発展し、写真と3DCG、バックライトを用いた新たなシリーズ’フェイス(”ポートレート”)’を制作している。
コンピュータ上で作成した3D形体の顔に、実在する人の表面(皮膚)の画像を貼付け、半透過フィルムにプリントしたライトボックス作品は、観る者に強い存在感と同時にそれとはまったく正反対とも思える不可解さ、不在さをも投げかけてくる。
その大きな瞳で眼差しを投げかける少女は、一切の個性を剥奪されながらも、強く真っ白な光を放ち、ある種の神々しさのようなものさえたたえている。
それは、誰とも判断できないという匿名性にとどまらず、ヒトともモノとも言えない、指し示すことの出来ない領域を感じさせ、また、視る者と視られる対象、どちらにも属さず、また、どちらにも存在を与えるような、自律性を持った境の面を浮かび上がらせているかのようだ。
言うなればまさに「境面」そこに、渡辺の興味はある(展覧会タイトルである「境面」とは、作家による、境(border)と面(face)の造語)。
人類は、自己、世界、人、生命などのあらゆる「境」について考え、画定し、争い、また「境」で彷徨ってきたとも言えます。それは、クローン技術を筆頭に、テクノロジーの発展にともない、ますます複雑で深刻な様相を呈している。
渡辺の作品から誘発される「境面」は強い磁場となり、我々をもう一度「境」に立たせ、思考を差し迫るような強いインパクトを与えることだろう。
ARATANIURANO(アラタニウラノ)
東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A
TEL:03-3555-0696