http://www.KodamaGallery.com
アクリル、油彩、樹脂、コラージュを組み合わせた半立体作品やアッサンブラージュ、町並みや気に留めた物から浮かぶイメージを描いては壊す繰り返しによって生み出されるドローイング、膨大なコラージュやドローイングを集積させて作るアーティストブックなど、野原の作品は蒐集や増殖といった言葉を連想させるような、空白恐怖的な密度と延伸性を持っています。
それぞれは断片的で掴み所の無いような作品を組み合わせて作り出される空間は、一つ一つの作品において独立した世界観を提示しながらも同時に全てが通底する繋がりを見せ、まるで現実と妄想の世界にはり巡らされた網目のようです。
その網目をくぐり抜けてはふらふらと、迷い込むかのように野原の世界観の中へと引き込まれていきます。
今回の「Zig Zag Tambourine」では空間を埋め尽くすほどの質量と存在感で迫る立体群の中を、彷徨いながらもリズミカルに進んで行くイメージでインスタレーションが展開されます。
その中で格子や梯子の様に明瞭で構造的なモノと、パズルピースのように非定形で未分化なモノが同一空間に混在する事にある種の戸惑いを覚えるかもしれません。
しかしこの不調和こそが野原の思考そのものであり、思考が具現化された空間内においてはその軋轢が巧妙なまでに独自のリズムを生み出す仕掛けとなっています。
今回展示される作品の一つに、迷路の様な空間を進んで行くとセンサーがヒトに反応して中からピンポン球が打ち出されるという作品があります。
これは圧倒的なエネルギーを感じさせる野原作品の中では唯一対極に位置する無力さであり、空回りするようにリズムが崩れる瞬間です。
しかしながら、一度崩れたリズムからはまた新しいリズムが生まれる、これは野原から観覧者へ向けての思索を深めるための細工であり、その場にしか流れない個人的な人間考察の時間を与えるための休符とも言えるものです。
野原の量的な世界とその中に潜むモノを同時にお楽しみください。
児玉画廊
大阪市中央区備後町4-2-10 丸信ビル2F
T:06-4707-8872