一目でわかる!日本の美術この100年
日展100年
2007年7月25日(水) - 9月3日(月) 火曜休館
10:00 - 18:00(金曜 - 20:00、入館は閉館の30分前まで)
国立新美術館
国内最大の総合美術展「日展」の過去100年を回顧する、「日展100年」展。
日本美術史に残る巨匠の作品により、近現代美術の流れを一望できる画期的な展覧会です。
わが国最大の公募美術展「日展」は、1907年(明治40年)明治政府が美術を振興するために文展(文部省美術展覧会)を創設して以後、帝展(帝国美術院美術展覧会)、新文展、そして戦後の日展へと名称を変えながら日本美術界の中核を担ってきました。
文展創設から数えて100周年。この展覧会では日展100年の歩みをたどり、約170点におよぶ絵画、彫刻、工芸、書の傑作を通して、近代美術の魅力を堪能することができます。
第1章 文展
フランスのサロンをモデルにして創設された文展(文部省美術展覧会)は、日本画・西洋画・彫刻の3部門で構成され、1907(明治40)年の第1回展から1918(大正7)年の第12回展まで開催されました。
上村松園 「花がたみ」
大正4(1915)年 絹本着色 第9回文展 松伯美術館
紅葉の舞い散る中を1人の女性が歩いています。衣は乱れ、地面に扇を落とし、右手には菊の花籠をもっています。描かれているのは心乱れた女性の姿で、謡曲「花筐」の一節に題を取っています。上村松園は、文展の花形女流画家として活躍しました。この作品は文展での最高賞にあたる二等賞を受賞した松園美人画の傑作として知られています。
第2章 帝展
1919(大正8)年から文展は、帝国美術院が運営する帝国美術院美術展覧会(帝展)に変更され、1934(昭和9)年まで開催されました。1927(昭和2)年の第8回帝展からは、洋画部門に創作版画が追加されました。また、それまでの日本画・洋画・彫刻の3部門に、美術工芸部門が加わりました。
岸田劉生 「童女像」
大正10(1921)年 油彩・カンヴァス 第3回帝展
赤と黒のチェックのワンピースを着たおかっぱ姿の娘・麗子が、右手に花を持つ姿で描かれています。劉生の代表作《麗子微笑》(東京国立博物館)と同じ年に制作された麗子像の優品であり、一連の麗子像の中では珍しく洋装をしている点が注目されます。劉生が帝展に出品したのはこの時だけで、きわめて稀な作品です。
板谷波山 「紫金磁珍果文花瓶」
昭和2(1927)年 磁器 第8回帝展 出光美術館
褐色の色合いをみせる紫金磁とは板谷波山独特の鉄釉で、部分的に紫色の微妙な発色をみせます。花瓶の三方には、桃・枇杷・仏手柑という吉祥モチーフの果実が彫られています。帝展に美術工芸部門が増設された最初の展覧会に出品されたこの作品は、近代陶芸の先駆者として知られる板谷波山の意欲作といえるでしょう。
第3章 新文展
1935(昭和10)年、文化統制を目的とした松田源治文相による帝展改組が行われると事態は紛糾し、再改組を経た1937(昭和12)年、再び文部省直営の新文展が組織されました。
橋本関雪 「唐犬」
昭和11(1936)年 絹本着色 改組第1回帝展 大阪市立美術館
タイトルは「唐犬」ですが、描かれているのは「舶来の犬」、洋犬です。金泥で塗られた背景に、白と黒と茶の洋犬たちと鮮やかな紅色の牡丹が描かれ、華やかな画面を構成しています。橋本関雪は、文展・帝展の花形作家として、数々の名作を発表しました。この作品は写生と中国画の研究を活かした関雪動物画の名品といえるでしょう。
第4章 日展
戦後すぐの1946(昭和21)年、文部省主催による第1回日展が開催され、1948(昭和23)年からは書部門が追加されました。1949(昭和24)年、国家予算による官展の歴史は終わりますが、日本芸術院などの主催で半官半民として継続、1958(昭和33)年以降は社団法人日展によって現在まで運営されています。
山崎覺太郎 「漆器 空 小屏風」
昭和25(1950)年 木パネル・漆 第6回日展 富山県水墨美術館
色漆を用いて、青空と雲、空を飛ぶ小鳥、さらには電柱とそこにはりめぐらされた電線というモダンなモチーフを描き出しています。山崎覺太郎は、東京美術学校漆工科教授となり、工芸団体・无型で活躍してのち、帝展・新文展・日展の中心的作家として活躍しました。この作品は漆の可能性を広げた覺太郎の代表作です。
◆展覧会名 日展100年
http://nitten100.jp/
◆会 期 2007年7月25日(水) - 9月3日(月) ※毎週火曜日休館
◆開館時間 午前10時 - 午後6時 ※金曜日は午後8時まで。入館は閉館の30分前まで
◆主 催 国立新美術館、社団法人日展、日本経済新聞社
◆協 賛 旭硝子、クレハ、清水建設、日本興亜損害保険、三菱商事
◆監 修 前京都国立近代美術館長 内山武夫
◆観 覧 料 詳細は展覧会ホームページでご確認ください。
http://nitten100.jp/
◆巡回のご案内 本展は東京会場の後、下記の会場へ巡回いたします。
○ 2007年9月23日(日) - 11月4日(日) 宮城県美術館
○ 2008年2月19日(火) - 3月30日(日) 広島県立美術館
○ 2008年4月12日(土) - 5月18日(日) 富山県立近代美術館
◆会 場 国立新美術館 企画展示室1E 東京都港区六本木7 - 22 - 2
URL:http://www.nact.jp/
東京メトロ 千代田線 乃木坂駅 6出口(美術館直結)
東京メトロ 日比谷線 六本木駅 4a出口から徒歩5分
都営地下鉄 大江戸線 六本木駅 7出口から徒歩4分