カンノサカン(1970年生)は、キャンバスにウレタン塗装を施した、磨き上げられた車体の様な表面に、アクリル絵具で緻密に描かれる抽象画で知られています。
日々大量のドローイングを描き続けるカンノの手技と感覚は、近年さらに進化をとげ、深みを増してきました。
作品において最も象徴的な「自由な曲線」は、ジャズベーシストとしての音楽的な経験から学んだインプロビゼーション観と、創造に対する独自の哲学に基づき、一切の下描きを経ずに描かれています。
その緻密で微視的な一筆一筆の集積はやがて全体となり、光沢を放つ背景の深度と相まって、美しい絵画空間を表出させるのです。
「LB8109060」 2006 91x91x5.5cm Urethane and acrylic paint on canvas
mounted on wooden panel
本展では、国内初発表となる黒を背景色に用いた新作を展示いたします。
漆黒を思わせる新作の背景は、カンノの細密な筆遣いによって生まれた図象をさらにシャープに細部まで浮かび上がらせ、カンノの意図する質感による奥行きと浮揚感がより強調されます。
中でも長辺が3メートルを超える大型の新作は、今までのカンノの作品にはない広大なスケールで、より深淵な世界へと観る者を引き込みます。
昨年は国内及びミュンヘンでの個展、オープンしたばかりの青森県立美術館でのグループ展に参加し、着実に活動の場を拡げています。
レントゲンヴェルケでは3回目となるカンノの新たな表情をみせる今回の新作展にご期待ください。
ヴァイスフェルト(レントゲンヴェルケ)
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3階
TEL:03-3475-0166