デニス・ホリングスワース展
「コロッサス」
2007年6月2日(土) - 6月23日(土) 日・月曜、祝日休廊
12:00 - 19:00
小山登美夫ギャラリー
デニス・ホリングスワースは1956年スペイン、マドリッド生まれ。
1985年、カリフォルニア州立工芸大学卒業。
1991年、クレアモント大学院修了。
現在、バルセロナ近郊のトサ・デ・マルと、ロサンゼルスにて制作活動を行っています。
1999年、クンストハーレ・バーゼルで行われたグループ展「Nach-Bild」にリチャード・ハミルトン、ローラ・オーウェンス等と出展した他、ドイツ、オランダ、フランス、スペイン、ニューヨーク、ロサンゼルスなど、世界各地で展覧会を開催しています。
小山登美夫ギャラリーでは、1997年、1999年、2002年、2004年の展覧会以来、3年ぶり5回目の個展となります。
抽象絵画を、抽象と言わしめる理由はどこにあるのでしょう。
私たち鑑賞者が作品を見るとき、そこで何が表現されているかを、言葉に置き換えて捉える事ができます。
たとえそこに表されているモチーフが何なのか具体的に説明できなくとも、みずみずしい色、激しいコントラスト、つややかな絵具の表面、といったように、私たちの視覚、或は知覚そのものには、常に言語が多く介在しています。
Magpie Aesthetic, ww#269,2007 oil on canvas mounted on wood panel,
122.5 x 82.0cm
デニス・ホリングスワースのペインティングは、まるで絵具というメディウムを、言語そのものとして機能させているかのようです。
彼の描く形やその色調は、画面に影を持ち込むことによって、絵具という媒介の持つ豊かさがより際立っています。
塗り重ねられたレイヤー(層)と、その上に自在に配置される様々な表情のテクスチュア---中でも特徴的なのは、今しがたできあがってまだ冷えていないチョコレートのように四方八方へ角を出した絵具の盛り上がりや、溶け合ったホイップクリームのようなマーブル模様です---が、それ自体あたかもアルファベットの文字であるかのようにリズミカルに組み合わされ、新たな世界が再構築されていきます。
そこには、いわゆるアクションペインティングからほとばしる人間のエモーショナルな情動は見られません。この「絵画ではないが、彫刻でもない」作品は、2次元と3次元という美術作品としての問題を遥かに越えて、彼自身の世界の見取り図であるといってもいいかもしれません。
本展では、彼が90年代から描き続けている『Wet on Wet』シリーズの新作が展示されます。
乾いていない画面に、更にまだ濡れた筆を滑り込ませる手法は、必然的にごく短時間で完成させなければならない緊張感を彼に与えています。
タイトルの「コロッサス(巨人)」は、彼の作品の中で最大の大きさとなったペインティングの持つスケールの問題、またゴヤの「巨人」やピカソの「ゲルニカ」など、絵画の主題と大きさの関連性、また彼の祖国であるイベリアの文化的背景をも含んでいると作家は語っています。
長さ5m近くの表題作を始め、6点の大ペインティングと、14点の小ペインティングが展示される予定です。「最もポジティヴで圧倒的な意味での自然、人間、グローバリズムの巨大さ」(作家談)を描ききる新作を、是非この機会に是非御高覧下さい。
小山登美夫ギャラリー
〒135-0024 東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090