エヴァン・ペニー展
2007年6月30日(土) - 7月28日(土) 日・月曜、祝日休廊
12:00 - 19:00
小山登美夫ギャラリー
エヴァン・ペニーは1953年南アフリカ生まれ。
1978年、アルバータ・カレッジ・オブ・アート修了。現在はカナダのトロントを拠点に制作活動を行っています。
1981年、カナダのエドモントン・ギャラリーで行われた展覧会以降、ペニーの作品はカナダを始め、アメリカやスペイン等で紹介されています。
近年の大きな個展 ”Absolutely Unreal” は、2004年から05年にかけて、カルガリーのGlenbow Museumほかカナダの美術館数カ所を巡回しました。
また2006年にクンストハウス・チューリッヒで行われたグループ展 “The Expanded Eye: Stalking the Unseen”では、 1940年代から現代に至るまでの130人を越える作家たちの一人として、オラファー・エリアソンやカールステン・へラー、ピピロッティ・リストなどとともに紹介されました。
このたび小山登美夫ギャラリーにおいて、日本初の個展を開催いたします。
″(Female) No One - In Particular#10″,2007 mixed media 20.6 x 15.2 x 9.2 cm
?2007 Evan Penny
ペニーは主にシリコンを素材として、限りなくリアルな人物の胸像(もしくは全身像)を作ります。
多くの場合、それらの人物は等身大のおよそ2倍、もしくはそれ以上の大きさで、異様な迫力をもって我々に迫ってきます。
頭髪部には本物の人間の頭髪が使われ、顔に刻まれた皺やそばかす、むき出しの背中に浮き出たしみに至るまで、拡大鏡を通して微細に映し出された人体像が、突如目の前に現れたような錯覚を覚えるのです。このめまいに似た感覚は、厚みを抑えた、2次元と3次元の境界を行き来するようなレリーフ状のフォルムとも無関係ではありません。
もう1つの特徴的な作風として、これらの胸像がまず左右から押しつぶされ、そして上下に引き延ばされたかのような、不自然なフォルムが挙げられます。
この奇妙な変型は、デジタル写真の加工過程を彷彿とさせます。写真という存在が我々の思い描く「リアル」「具象」の土台としてあるのではないかという現状に、ペニーの「具象」彫刻は根底から揺さぶりをかけているのです。
リアルな肖像がしばしば作家の身近にいる実在の人物をモチーフとしているのに対して、ペニーの作り出す人物は多くが”No One - In Particular”と題され、機械的にナンバリングされています。
「私の興味は、我々が現実の時間と空間の中で互いに見えているであろう見え方と、写真表現においてそう見えるであろうと想像する見え方との間の場所へ、知覚的に彫刻を位置づけることにあります」と語る作家にとって、このスーパーリアリスティックな肖像はいかなる物語をも顧みず、我々に見えているはずの現実と鏡像の無限ループを、ラディカルに暴きだそうとしているのかもしれません。
本展では新作の彫刻4点を展示致します。是非この機会にご高覧ください。
小山登美夫ギャラリー
〒135-0024 東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090