ラムフロム・ザ・コンセプトストア(渋谷区上原)のギャラリースペース、GALLERY at lammfrommでは、2007年2月21日(水)から3月22日(木)まで、三田村光土里(みたむら みどり)の展覧会「Garten(ガルテン) - ある村の庭で過ごした夏 - 」展を開催いたします。
三田村光土里は1964年愛知県生まれ。1985年に南山短期大学人間関係科卒業。
1988年に名古屋ファッション専門学校を卒業し、その後1994年に現代写真研究所基礎科修了しました。
2003年のグループ展 「幸福論」(東京都写真美術館)以降、2005年に「Green on the Mountain」展がフィンランド各地を巡回し、2006年にはウィーンの歴史ある現代美術館、ゼセッション(Secession)にも同展が巡回するなど、日本のみならず、ヨーロッパを中心とした海外での活躍が続き、非常に高い評価を得ています。
また、フィンランド在住中である2005年には、古書店、古書一路(東京、広尾)にて「遠くに住んでいる人からの伝言」展を開催。招待客が30人限定という展覧会にも関わらず、大きな反響を呼びました。
三田村光土里は、私的な写真や小道具、音楽など、様々な素材を多彩に組み合わせたインスタレーションを、数多く発表しています。
自身が過ごした土地の写真や、両親をモデルにしたファッションフォトなどを、本、衣服、ベッドなどの思い出の品々や音楽と組み合わせるインスタレーションは、どれひとつ同じものはないが、時代や場所を超えて、誰もが共感できる日常の「記憶」や「記録」を思い起こします。
静かで淡々としつつも、そこには感傷的な思い入れはなく、軽やかでユーモラスなエッセンスが散りばめられています。
東京では久しぶりとなるGALLERY at lammfromm での展覧会では、これまでのインスタレーションの世界を離れ、「Garten(ガルテン) - ある村の庭で過ごした夏 - 」と題し、これまで単独で見せることのなかったビジュアル作品の中から、旅の写真シリーズを発表いたします。
「Garten1」
「Garten2」
■アーティストコメント
Garten / ガルテン-ある村の庭で過ごした夏-
友人一家が街外れの村に移り住んで家を新築した。
ひどく暑かった今年の夏、私は彼らを訪ね数日を過ごした。
自然に囲まれたその集落は、都会にほど近いところに位置しながら、
街の喧騒からは遠く隔たっている。
到着した翌日は、焼けるような日差しのもと、家の骨組みの完成式が開かれた。
正装した大工のマエストロたちが、木造の骨組みに登って祝杯をあげ、
友人たちが祝いに訪れて、敷地には成熟を迎えた大人の活気が満ちる。
そして庭は、裸で解き放たれた子供たちのパラダイスへと変わり、
限りない開放感の中で遊び飽く事を知らない。
この村に住む人々は、自然を尊び、芸術を愛で、音楽を愛する。
大人も子供も集うことを楽しみ、助け合うことを喜び、ここには、人の確かな
「暮らし」がある。
宴が終わり人が去っても、庭は私にやさしかった。
穏やかなその庭は、日々、誰かを静かに受け入れ、足を踏み入れる者に自由を与
えている。
庭が居心地の好い場所であるためには、そこに生きる人々の暮らしが、
温かく幸せなものでなければならない。
すると庭は楽園となり、そこに生きる人々のごく普通の時間と日常は、
目に映る全てのものが光を浴びて、キラキラと輝きを帯び始めるのだった。
2006年 夏 三田村光土里
※この村はドイツのケルン市内にあり、第2次世界大戦後は近くの鉄道工場で働く労働者や低所得者の住む貧しい集落でした。
その後、70年代にはヒッピー・ムーブメントとともに若者が移り住み、市民からは特殊な集落として見なされていましたが、豊かな自然をそのまま生かし、緑に囲まれてこじんまりとした戸建の家が集まる環境と、自然を好む住民のライフスタイルは徐々に人々の関心を惹き、近年では芸術家や音楽家が家を購入して多く移り住むようになりました。
今でも「すこし変わり者の住む村」と言われるようですが、庭で馬や鶏など家畜を飼っているたたずまいは、人の本来の暮らしであり、都心の一角とは思えない、のんびりとした穏やかな時間が流れています。
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旅を重ねながら、何気ない日常に向けられる三田村の目線が伺える、今回の展示作品。内面と風景との距離感や、その間に漂う繊細さと自己を取りまく世界への親密さが表現されています。
三田村がこれまで、インスタレーションで表現してきた作品の裏側にこめたストーリーをさぐるヒントとなるであろう作品の数々を、この機会にどうぞご高覧ください。
協力:ユミコ・チバ・アソシエイツ
GALLERY at lammfromm
〒151-0064 東京都渋谷区上原1-1-21 山口ビル1F
TEL&FAX 03-5454-0450
http://www.lammfromm.jp