レセプション:1月27日(土) 18:00〜
2004年、児玉画廊にて発表し、好評を博したビデオインスタレーション「HOME」に引き続き、今回の個展では最新作の映像作品の他、日本で滞在製作した写真や立体作品、ドローイングを同時に展観致します。
オラフ・ブルーニング の作品は、現代社会のあらゆる局面に蔓延しているステレオタイプなイメージや、音楽、映画、ゲーム等のカルチャーから着想を多く得ています。
例えば、彼の写真作品の多くは整然と並んだ群像や、過剰にディフォルメされたキャラクターを多用しています。例えばイースター島のモアイ像をよくある構図で捉えた写真でありながら、カメラを通した遠近の妙を駆使して実際には手前に設置してあるだけの耳や口を象ったパーツがモアイの顔に貼り付けられたように見せる「Easter Bunnies」。
よくある風景の中にあり得ないような要素を滑り込ませる、あるいは、単純でささやかな仕掛けであるにもかかわらずなぜか可笑しくて堪らない、といったこのような作品において、オラフ・ブルーニングは、象徴的に私たちの社会のあやふやな上澄みを掠め取り、それを映画か舞台のような非日常的な景色として突きつけてくるようです。
この作家の作品を前にして思う、なぜ、何、という疑問は、私たちが普段気に留めずにいる既知の風景の中に悪戯めいた手法で「ありそうでなかった」イメージを思いがけず直視させられる戸惑いにも似た感覚よるものと言えます。
自分では想像しても実現し得なかった思い切った悪ふざけを目にするようで、胸の空くような思いを感じる事でしょう。
本展で発表される最新作の映像作品「THE APPLE AND..」は往年の無声映画を模して撮影されていながら、作家特有のユーモアと奇抜なストーリー展開でめまぐるしく展開していきます。
ここにもやはりステレオタイプなイメージが多用され、過剰な演出やインスタレーションと相まって、見る者の記憶にある所謂コメディータッチの無声映画の漠然としたイメージを喚起し「ありそうでなかった」けれども「共感できる」効果を生み出しています。
また滞在期間中に制作された、食品サンプルと黒髪の女性を題材とした写真作品や醤油差しを使った彫刻作品、ドローイング十数点など、全て最新作によるバラエティーに富んだ内容の展覧会となっております。
そして本展覧会と同時開催の森美術館「笑い展」においても、食品サンプルを用いた立体作品及び写真作品を出品しております。
これまで数々の個展、メジャーな国際展、ファッションとのコラボレーションに至るまで多くの批評家、観客を魅了してきたオラフ・ブルーニングの作品世界をより充実してご紹介できるまたとない機会となっております。ぜひご高覧ください。
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