山本現代では来る1月27日(土)より磯邉一郎個展「X-eye」を開催いたします。
「人が認識するのは重複したイメージ」と作家が言うように、磯邉の描く「顔」はさまざまな要素が組み込まれています。
建築物や空間といった3次元の要素と、ロゴマークや旗などの2次元的要素 - - あるものを簡略化、記号化し、そのものの「顔」=アイコンとなるものーーを、抽出してそれらを同じ平面上に混ぜ込みます。
そうすることによって生み出される新たな「顔」は、年を重ねて変化し続ける人間のようでもあり、破壊と構築を繰り返しいつの間にか姿を変える町のように、知っているもののはずなのにふとした瞬間に違和感を覚える、捉えることのできない感覚のようにも感じられます。
「X-eye」というタイトルには「Xクロス=混ざり合う、交差する」またX線の「透視する」という意味が込められています。
表面に見えるものだけではなく、その奥に潜むものを透かし見せる試みですが、実は内外の境界線は互いに浸食しあい、溶け出して違う形を作り出しています。
磯邉一郎 「Victory」 2006 紙に色鉛筆、鉛筆 H620×W820mm (frame include)
Courtesy of YAMAMOTO GENDAI
情報化が進み、相手の顔が見えなくても可能になったコミュニケーションに誕生する第二の顔、表面で判断することの危うさ・・・そもそも目に見えるものとは何なのでしょうか。
磯邉の視点はたえず運動を繰り返し、断片をさらに切り刻んで再構築していきます。抽出 - サンプリングされたものは、見る者によっては全く異なる顔をしているかもしれません。
鉛筆の濃淡で表現する作品とともに今回は油絵具、アクリル、色鉛筆、スプレーと多くのメデュウムを取り入れ、素材においても「混ざり合う」ことを追求していきます。
山本現代
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