ギャラリー五辻では、ギヨーム・ボタージ展(ゲストキュレーター:高石ゆみ)を開催します。
ボタージにとって、東京で2回目となる今回の個展では、すべて描きおろしの新作オイル・オン・キャンバス17点(27x35cmから200x200cm)に加え、オイル・オン・ペーパー数点が発表される予定です。
Untitled 110cm by 195cm Oil on canvas 2006
ボタージの絵でまず目をひくのは、そのパワフルで独特な色彩でしょう。それはくぐもる光を内包しているかのようにも見え、鋭い感性を感じさせます。ノーマルなプロポーションに逆らう構図は奇妙なニュアンスを生み、画面はエネルギーに満ち溢れています。
そして何よりも特徴的なのは、ふわふわする浮遊感とともにずっしりした重量感を持つ不思議な形です。キャンバスに近づいてよく見ると、それは、柔らかい絵筆で時間をかけ、丹念に描き込まれた賜物であることがわかります。高度のテクニックを要するその手法は、イタリアルネサンス絵画から影響を受けた古典的油絵の技法で、彼が17歳の時に生まれ育ったフランスを飛び出し単身イタリアに渡って以来、ますます磨きがかかりました。
Untitled 195cm by 130cm Oil on canvas 2006
ボタージは現在35歳ですが、独特のセンスでオリジナリティあふれる作風を展開しています。ヨーロッパを中心に多くのファンを魅了する彼の絵画は、日本にはあまり馴染みのないテイストだっただけに、新鮮な表現が魅力です。常に新鮮な驚きを感じさせるとともに、さまざまな解釈が引き起こされますが、それだけにとどまらず、さらに踏み込んで言えば彼の絵画は、「新しい抽象のとらえ方を触発する絵画」といっていいかもしれません。
またボタージは、一昨年前、初めて訪れた日本で、そのデリケートで非常に洗練された文化的背景に魅了され、帰国後その新たな発見をもとに早速制作にとりかかりました。今展では、日本へのアプローチが反映された新作も期待できます。
ギャラリー五辻
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