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山本現代では、冨谷悦子個展「棗菊(なつめぎく)」を開催します。
81年生まれの冨谷は現在、東京藝術大学大学院版画専攻に在籍中。昨年のアートフェア東京(国際フォーラム、有楽町)にて数点の作品をご紹介いたしましたが、今回が初個展となります。
棗菊 Natsume-giku(Jujube tree- chrysanthemum) 2006
エッチング Etching
H120×W120mm
一見すると「真っ黒い四角」にすら見える画面は、近付いてよく見ると無数の植物や動物で満たされた芳醇な細密の世界..--あらゆるものが生命を吹き込まれ、画面のなかで蠢くひとつの塊のようです。
虫眼鏡級に繊細で精密な作品を制作する冨谷悦子が、最終的に選択した技法はエッチング(銅版画)で、その技法が、より細い線で最大限の密度で描くことに最も適しており、非常に小さな画面に超絶的な大スペクタクルを出現させています。
そこには動物や魚、昆虫、植物などの生物が溢れるほど描かれており、自然と生物の持つ幻想的な無気味さや凛とした輝きを表現できる..、希有な作家です。
今回、山本現代では新作銅版画と初発表の新作ドローイングをご紹介します。
※タイトルの棗菊(なつめぎく)とは冨谷による造語で想像上の植物。展覧会オープニングである9月9日は菊の節句。
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一枚の絵の前で
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見て
感じて
想像する時間を
..
ほんの少しでも邪魔したくなくて
私はできるだけ
解説だとか
コンセプトだとかの
具体的な言葉による束縛を
しないようにしています。
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題名もまた同じ。
..
せっかくこの世に生まれてきて
のびのび存在している世界を
つたない言葉で線引きして
狭めたりしてしまったら
見えたかもしれない物語や
感じられたかもしれない空気を
みんな消してしまうでしょう
ということで
つまり。
..
私の作品に
書かれた言葉のないことは
自由の勝利の証なのです。
冨谷悦子
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冨谷悦子
1981 愛知県生まれ
2004 東京藝術大学美術学部 油画科 卒業
2005 東京藝術大学美術学部 美術研究科 版画専攻
山本現代
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Tel : 03-6383-0626