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山本現代では「YAMAMOTO GENDAI Future Feature」と題し、より自由かつ直感的に、期待の新人や様々な可能性のある作家を紹介するシリーズを始めます。
第一回目は大竹司(おおたけ・つかさ)個展、「クリーム」"CREAM" を開催します。
Colosseo, 2006 H540×W790 mm (frame size)
麻、ブレダン紙、インク、アクリル絵具、紙
Courtesy of YAMAMOTO GENDAI
名古屋を拠点とし、主に平面作品を制作する大竹は、伝統的な日本画を学び、岩絵の具で植物や風景を描いていました。
しかし、現実の生活とモチーフや素材に違和感を感じて、自分にとってリアルなもの、必要なもの、楽しめるものを描くようになります。
同時に岩絵具という高価で時間も手間もかかる素材、それを使用することで発生する満足感、優越感に疑問を持つようになり、主にアクリル絵具で、人間の生活を動物のイメージや習性に重ねた独特の擬人法によって作り出すようになります。
漫画を思わせる描き方も応用し、キャラクターや妖怪、そして福助、招き猫など、「奇妙なもの」に縁起を担ぐという日本の独特な感覚を取り入れ、作品を制作します。
そして2003年に「切り絵」を使った作品を発表。切り絵との出会いは小学校で自分で考えたキャラクターを切り取り、その出来に満足した記憶が残っているそうです。
暫く離れていた切り絵ですが、大学一年の時、ふとしたきっかけで切り絵を制作することがあり、非常に細密な切り絵を極めてゆきます。
ペインティングの作業は9割が淡々とした足し算の作業だが、「切る」(いわば引き算)ことが「出来上がる」ことと直結していることに面白さを感じ、作品に取り入れはじめました。紙を二つ折りにしてカッターを使わず、どこにいても制作可能という理由から「ハサミ」だけで切り取ります。
一枚の紙で展開される、自然界ではありえない完全なシンメトリー、繊細な曲線は絶対的な強さ、潔さ、そして整いすぎていることによって発生する不協和、違和感を与えます。
大竹司が表現するその作品世界を、どうぞご高覧ください。
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トロリとしたクリームがドーナツみたいな芯を欠いた輪になって、グルグル回転している。
時々回転が遅くなると、ポタポタとクリームが落ちてくる。
それぞれにいろんなものが当てはまるけども、僕の作品は、落ちてきたクリームみたいなものです。
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ドーナツというのは芯とか核が無いということで、最近の僕の生活もそんな感じなんです。
大きな目的を持って仕事をするとか、深く解り合おうと思って人と接するということがだんだん無くなって来ています。
核を持たないままグルグルと廻り続けていても、時々小さな心に残るような出来事とか引っ掛かるような事があります。
そういう時に少し時間がゆるやかになって、作品として形に残したいと思います。
そして、作品を作ると少し安心します。
それから、小さい頃から馴染んでいるクリームという響きには、ファンシーな感覚と、どこか安っぽいキッチュな感覚とが同居しているように思います。
プラネタリウムみたいに本物でもニセモノでも人をワクワクさせる、そんな魅力を持っているモノはいずれにせよ等価である、と僕は思っています。
大竹司
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