EXHIBITION | TOKYO
アルベルト・ヨナタン・セティアワン(Albert Yonathan Setyawan)
「Mirror Image」
<会期> 2020年10月7日(水)- 11月7日(土)
<会場> Mizuma Art Gallery
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
ミヅマアートギャラリーでは、10月7日(水)よりアルベルト・ヨナタン・セティアワン展「Mirror Image」を開催いたします。
1983年インドネシア出身のアルベルト・ヨナタン・セティアワンは、2012年にインドネシアのバンドン工科大学視覚芸術専攻を修了。その後も現代陶芸について研究を続けるため京都に移り住み、今年、京都精華大学で博士号を取得しました。
作家活動を始めて以来、「第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ」(イタリア、2013)、「ASEAN設立50周年記念 サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(森美術館/国立新美術館、東京、2017)、「Contemporary Worlds: Indonesia」(オーストラリア国立美術館、2019)など、数多くの国際的な展示にも参加をしています。 主に現代陶芸の領域でアートの実践を重ねるヨナタンですが、同時にドローイング、インスタレーション、パフォーマンス、映像作品など、自身の考えを様々な形に昇華しています。
本展のタイトル「Mirror Image」は、放射状または左右対称的な一つのイメージが反復と増殖を繰り返すことで、鏡に反射するように複数のイメージが現れることを示しています。
私たちの身の回りにあるものは、ほぼ全てのものが「対称性」の原理で成り立っています。例えば、多くの動植物は放射状または左右対称的な形成をし、人工物や大量生産されたものはこの原理を用いることで再生産や複製を可能にしました。 ヨナタンは作品を通して、私たちを取り巻く様々なものを形成する根本的な原理の一つが対称性であることを考察しています。(この考察は2019年にシンガポールのMizuma Galleryで開催された個展「Variations on Symmetry」より続いています。)
ヨナタンが陶作品を制作する際に頻繁に用いているスリップキャスティング(鋳込み成形)という方法の中にも対称性の原理は存在しています。この鋳型を使う方法は様々な形のパーツを幾つも作り出すことを可能とします。このように技術とコンセプトの両面において、対称性は彼の作品を解釈する上で切り離すことのできない概念となります。
一方で、ヨナタンは「反復性」について宗教芸術を参照しています。例えば、ヒンズー教や仏教などの宗教芸術でみられる曼荼羅では、“Multiple Emanation”(複数の分身)の概念が曼荼羅を形成する軸となります。ヨナタンは、人間の身体(肉体)も曼荼羅と同じようにマクロとミクロの二つの世界を有するものだと考えています。
また、素材となる粘土(ほとんどの場合は低温で焼き上げるテラコッタ粘土)については、古代より人の手を通して造作に使われ、あらゆる素材の中で最も身体性を感じられることから、単なる材料ではなく精神的な概念の象徴にもなりうるとヨナタンはとらえています。本展はこのテラコッタによる作品を中心に展開されます。
作品を構成するモチーフは、彼にとって象徴的でかつ霊的な意味合いを含むものとして、花、炎、羽、蛾、目などの自然の要素が抽象的に表され、それぞれのフォルムの集合体から一つの作品が構成されています。作品の中に視覚的な美と幾何学、精神的な概念を混在させながら、私たちを取り巻く世界がどのように形作られているかを熟考します。
近年より作家が考察を続けている対称性の原理を、制作過程とコンセプトの両面で提示する新作群をぜひご高覧いただけますと幸いです。
Mizuma Art Gallery (ミヅマアートギャラリー)
https://mizuma-art.co.jp/
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
tel:03-3268-2500