EXHIBITION | TOKYO
三枝愛(Ai Mieda)
「尺寸の地」
<会期> 2021年6月19日(土)- 7月4日(日)
<会場> Bambinart Gallery
<営業時間> 12:00-19:00 月火休
このたびBambinart Galleryでは、三枝愛(みえだあい)個展「尺寸の地」を開催いたします。三枝は1991年埼玉県出身、2018年に東京藝術大学大学院 美術研究科油画専攻 修士課程を修了、現在は京都を拠点に制作活動を行っています。これまで個展を東京、茨城、愛知、京都各地で開催したほか、布施琳太郎がキュレーションした「沈黙のカテゴリー」(2021、クリエイティブセンター大阪)、「アーツ前橋 群馬県ゆかりのアーティスト滞在制作事業」(2020、アーツ前橋)、「清流の国ぎふ 芸術祭 Art Aword IN THE CUBE 2017」(岐阜県美術館)、「群馬青年ビエンナーレ 2017」(群馬県立近代美術館)などに参加しています。
三枝は、東日本大震災に伴う原発事故の影響で、原木椎茸栽培を営む家業が原木不足に直面したときに、さまざまなものが失われ徐々に変わっていく庭の景色を「庭のほつれ」と名付け制作活動の中心に据え、思いを巡らせてきました。その過程で、人間が道具として用いてきた「木」の存在に関心を寄せ、また文化財修理に携わり「ものを残すこと」の意味を問うなかでインスタレーション作品を中心に発表を重ねてきました。
失われゆくことと残すことの本質を、すでにあるものを移動し留めることで提示し作品としてきた三枝は、本展では「新しく作る=絵を描く」こととして、絵画制作に取り組んでいます。絵画における木枠を主役に、黄袋を支持体にし、古典的な写真技法であるサイアノタイプ(日光写真)を用いて制作した「尺寸の地」シリーズ、畑の土地を耕し整えることを、絵画のキャンバスに刷毛で描くことに置き換え、原木椎茸栽培に使われる道具である椎茸用封蝋を用いて描いた「誰かの畑」シリーズ、群馬県にあるインドシナ難民の共同墓地を描いた「墓予定地」のシリーズを中心に発表します。
「他所の者から見ればほんの僅かな土地であっても、その土地を使う者にとっては家や墓、庭や畑であるような、できれば失いたくないと思うかもしれない地面のことを考えている。
わたしが油絵と出会ったのは10歳の頃だった。それは新しく通い始めたバレエ教室の先生が、フランス留学中に友人に描いてもらったという、壁一面の大きなポートレートだった。
3年後、中学校の美術部で初めて手にしたF8号のキャンバスと、油彩道具一式は、目の前のものやイメージと自分がどう向き合えばよいのかを探る長い長い時間を支えてくれた。
絵は、わたしが一時的に占有できる地面としていつもただそこに在る。
しかし、それは一体どんな地面なのだろう。
気付いた時すでに手にしていた「ものさし」について、改めて考えを巡らせるには、多くの時間を要しました。これは、わたしにとって、初めての絵の展覧会です」(三枝愛)
どうぞご高覧ください。
Bambinart Gallery(バンビナートギャラリー)
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