EXHIBITION | AICHI
「STILL ALIVE 国際芸術祭 あいち2022」
“Aichi Triennale 2022”
<会期>2022年7月30日(土)- 10月10日(月)
<会場> 愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)
<営業時間>
愛知芸術文化センター: 10:00-18:00(金曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで 月休(祝休日は除く)
一宮市: 10:00-18:00(一宮市役所は17:15まで)※入館は閉館の15分前まで 月休(祝休日は除く)
常滑市: 10:00-17:00 ※入館は閉館の15分前まで 水休
有松地区(名古屋市): 10:00-17:00 ※入館は閉館の15分前まで 水休
国際芸術祭「あいち2022」が、2022年7月30日(土)から10月10日(月・祝)まで開催。テーマは「STILL ALIVE」今、を生き抜くアートのちから。世界的に評価の高いコンセプチュアル・アーティスト河原温(愛知県出身)が電報で自身の生存を発信し続けた『I Am Still Alive』シリーズに着想を得ています。ポストコロナの時代、ますます複雑化していく現代社会において、いかに未来に眼差しを向けて進んでいくのか。その解の一端に触れることができるかもしれません。
■■主な会場は4つのエリア
主な会場は、愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)の4つのエリアです。
それぞれの営業時間と休館日は、以下の通り。
①愛知芸術文化センター: 10:00-18:00(金曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで、月曜休館(祝休日は除く)
②一宮市: 10:00-18:00(一宮市役所は17:15まで) ※入館は閉館の15分前まで、月曜休館(祝休日は除く)
③常滑市: 10:00-17:00 ※入館は閉館の15分前まで、水曜休館
④有松地区(名古屋市): 10:00-17:00 ※入館は閉館の15分前まで、水曜休館
■■各会場の概要
①愛知県芸術文化センターは、地下2階、8階、10階の3フロアに総勢42組のアーティストおよびグループの作品を展示。
②一宮市は全10会場。
一宮駅エリアの7会場(オリナス一宮、つむぎロード(公衆トイレ南側壁面)/大宮公園、一宮市役所、旧一宮市立中央看護専門学校、旧一宮市スケート場、豊島記念資料館)に15組、尾西エリアAの2会場(国島株式会社、のこぎり二)に2組、尾西エリアBの1会場に(尾西生涯学習センター墨会館)に2組の展示があります。
③常滑市は全6会場。
やきもの散歩道エリアの5会場(旧丸利陶管、廻船問屋 瀧田家、常々(つねづね)、旧青木製陶所、旧急須店舗・旧鮮魚店)に11組、INAXライブミュージアムに1組の展示。
④有松地区(名古屋市)は全12会場。
6会場(竹田家住宅、竹田家茶室 栽松庵、川村家住宅蔵、岡家住宅、株式会社張正、旧加藤呉服店)に8組。ほかの会場は、家々の軒先に吊るされたインスタレーション展示のため街並みを歩きながら鑑賞できます。
映像作品も多く、全会場を鑑賞して回るには駆け足でも1泊2日、少なくとも2泊3日は必要です。また②一宮市の会場と③常滑市の会場はすべて徒歩で回るよりバスで移動するほうがよい会場もあります。
1泊2日の場合は、②+①(10FとB1F)、③+④+①(8F)のように①を2日に分けて鑑賞するのもよいかもしれません。金曜日を含むことができれば、①は金曜日のみ20時まで開館していることを利用した組み合わせも考えられます。2泊3日の場合は、①+④、②、③をそれぞれ1日ずつ回るのがおすすめです。
各会場にはわかりやすい地図が掲載された無料のガイドマップ(小冊子)がありますので、まずはそちらを手に入れましょう。
■■各会場のアーティスト
①愛知県芸術文化センターで展示しているアーティスト
・10階::河原 温、奥村 雄樹、ローマン・オンダック、和合 亮一(8階)、ロバート・ブリア、ミシェック・マサンヴ、塩見 允枝子、三輪 美津子(8階)、リタ・ポンセ・デ・レオン、パブロ・ダヴィラ、ファニー・サニン、アンドレ・コマツ、カズ・オオシロ、カデール・アティア、ジミー・ロベール、ホダー・アフシャール、足立 智美、大泉 和文
・8階::マルセル・ブロータース(10階)、ディムート・シュトレーベ、ケイト・クーパー、笹本 晃、ディードリック・ブラッケンズ、百瀬 文、リリアナ・アングロ・コルテス、モハンマド・サーミ、潘逸舟( ハン・イシュ)、シュエ ウッ モン( チー チー ターとのコラボレーション)、クラウディア・デル・リオ、小寺 良和、ミルク倉庫+ココナッツ、荒川 修作+マドリン・ギンズ、メアリー・ダパラニー、バイロン・キム、アブドゥライ・コナテ、岸本 清子、ヤコバス・カポーン、ローリー・アンダーソン&黄心健( ホアン・シンチェン)、渡辺 篤( アイムヒア プロジェクト)
・地下2階::小野澤 峻、縄( 愛知県芸チーム initiated by 奈良美智)
②一宮市で展示しているアーティスト
・オリナス一宮::奈良 美智
・つむぎロード(公衆トイレ南側壁面)/大宮公園::バリー・マッギー
・一宮市役所::眞田 岳彦
・旧一宮市立中央看護専門学校::近藤 亜樹、小杉 大介、西瓜姉妹(ウォーターメロン・シスターズ)、升山 和明、ケイリーン・ウイスキー、ジャッキー・カルティ、ローター・バウムガルテン、許家維(シュウ・ジャウェイ)、石黒 健一、ニャカロ・マレケ
・旧一宮市スケート場::アンネ・イムホフ
・豊島記念資料館::遠藤 薫
・国島株式会社::曹斐(ツァオ・フェイ)
・のこぎり二/旧一宮市立中央看護専門学校::塩田 千春
・尾西生涯学習センター墨会館::迎 英里子、レオノール・アントゥネス
③常滑市で展示しているアーティスト
・旧丸利陶管::デルシー・モレロス、ティエリー・ウッス、グレンダ・レオン、服部 文祥+石川 竜一、シアスター・ゲイツ
・廻船問屋 瀧田家::トゥアン・アンドリュー・グエン、ニーカウ・ヘンディン
・常々(つねづね)::田村 友一郞
・旧青木製陶所::黒田 大スケ、フロレンシア・サディール
・旧急須店舗・旧鮮魚店::尾花 賢一
・INAXライブミュージアム::鯉江 良二
④有松地区で展示しているアーティスト
・複数箇所::ミット・ジャイイン
・竹田家住宅::プリンツ・ゴラーム
・竹田家茶室 栽松庵::ガブリエル・オロスコ
・川村家住宅蔵::タニヤ・ルキン・リンクレイター
・岡家住宅::ユキ・キハラ、AKI INOMATA
・株式会社張正::イワニ・スケース
・旧加藤呉服店::イー・イラン、宮田 明日鹿
■■会場別に一部作品をピックアップ
①愛知県芸術文化センター
ミシェック・マサンヴ(10階)は、1980年ジンバブエ出身で現在もジンバブエに制作拠点を構え活動しています。本展では抽象絵画と映像作品、フォルクスワーゲンバスの一部が出品されています。移動するための車にはいくつものSTILLの文字が書かれています。
https://aichitriennale.jp/artists/misheck-masamvu.html
ファニー・サニン(10階)は1938年コロンビア生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動しています。50年以上、一貫して抽象絵画を描いています。モチーフの存在を示唆せず、現実の事象を参照しないことで、絵画の「純粋性」を担保し、美的な側面を追求するシンメトリーな絵画を描き続けています。
https://aichitriennale.jp/artists/fanny-sanin.html
百瀬文(8階)は、1988年東京生まれ。本展ではオペラ「サロメ」をモチーフとしたJokanaan(ヨカナーン/預言者ヨハネ)というタイトルの作品を展示しています。男性と女性(男性のデータ集積によるCG映像)を用いて、人の「主体」や「感情」の在り処について問いかけています。
https://aichitriennale.jp/artists/momose-aya.html
リリアナ・アングロ・コルテス(8階)は、1974年コロンビア生まれ。アフリカ系コロンビア人であり、植民地時代から今日までに構築されてきたアフロ・アイデンティティをテーマに制作した作品を展示しています。
https://aichitriennale.jp/artists/liliana-angulo-cortes.html
モハンマド・サーミ(8階)は1984年イラクのバグダッド生まれ、現在はロンドンを拠点に活動しています。人物は描かれず、誰かが存在していた気配だけが残る絵画作品です。困難な時代を生きた故郷イラクでの記憶やトラウマが描かれています。
https://aichitriennale.jp/artists/mohammed-sami.html
クラウディア・デル・リオ(8階)は、1957年アルゼンチン生まれ。絵画やパフォーマンス、メール・アートなど常に詩的でユーモアに満ちた作品を通じて、社会のなかで誰もが出会うさまざまな問題について考えることを促しています。
https://aichitriennale.jp/artists/claudia-del-rio.html
②一宮市
オリナス一宮で展示する奈良美智(1959年青森県生まれ)は、愛知県立芸術大学および大学院で学んでおり、愛知県とも縁の深いアーティストです。旧名古屋銀行一宮支店の建物を改装した会場は、アーティストの世界観で満たされており、その世界を見つめる眼差しを深く感じることができるでしょう。
https://aichitriennale.jp/artists/nara-yoshitomo.html
近藤亜樹(旧一宮市立中央看護専門学校)は1987年北海道生まれ。現在は山形県を拠点に活動しています。近藤らしい豊かな色彩でエネルギッシュな大作です。大きな太陽と子供たち、動物や花々が生命力にあふれ躍動する筆致で描かれています。
https://aichitriennale.jp/artists/kondo-aki.html
西瓜姉妹(ウォーターメロン・シスターズ)(旧一宮市立中央看護専門学校)は、台北を拠点にする余政達(ユ・チェンタ、1983年台湾生まれ)と、ベルリンを拠点に活動している黄漢明(ミン・ウォン、1971年シンガポール生まれ)によるパフォーマンス・デュオです。現代を生き抜く多様な「生/性」を肯定しています。
https://aichitriennale.jp/artists/watermelon-sisters.html
ケイリーン・ウイスキー(旧一宮市立中央看護専門学校)は、1976年ムバントゥア(豪州)生まれ。 インドゥルカナ(豪州)を拠点に活動しています。ウイスキーは、オーストラリアの先住民、アナング族のヤンクニチャチャラ族の女性で、作中では「My name is Kaylene Imantura Whiskey(私の名前はケイリーン・イマデュラ・ウイスキー)」と連呼しながら陽気なリズムに乗せて賑やかに振る舞います。古くから伝わる先住民の文化と、資本主義の輝きに彩られた消費文化をミックスしながら作品を制作しています。
https://aichitriennale.jp/artists/kaylene-whiskey.html
旧一宮市スケート場を会場としたスケールの大きな映像インスタレーションは、アンネ・イムホフの作品です。1978年ギーセン(ドイツ)に生まれ、現在はベルリンとニューヨークを拠点に活動しています。2017年に、ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞(ドイツ館)を受賞するなど、国際的に活躍するアーティストです。2つの大型スクリーンと音、会場の環境が、作品への没入感を増し、貴重な鑑賞体験を得ることができます。
https://aichitriennale.jp/artists/anne-imhof.html
塩田千春(のこぎり二)は、1972年大阪府生まれ。ベルリンを拠点に制作活動を行っています。赤い毛糸を使ったインスタレーションは、鮮烈な印象を与え、国際的にもよく知られた作品です。この糸はどこからはじまっているのか、どこで終るのか。赤い毛糸が複雑に絡まり大きな空間に存在する様子は、大勢の人々が暮らす世界そのものを表しているようにも感じられます。
https://aichitriennale.jp/artists/shiota-chiharu.html
③常滑市
トゥアン・アンドリュー・グエン(廻船問屋 瀧田家)は、1976年サイゴン(ベトナム)生まれ、ホーチミン(ベトナム)を拠点に活動しています。本作《先祖らしさの亡霊》(2019)は、フランスによるベトナムの植民地化の歴史に取材した作品です。激しく抵抗するベトナムの人々を鎮圧するため、同じくフランス領だったセネガルから多くの兵士が派遣されました。人々の移動が生んだ複雑な歴史を主題としています。
https://aichitriennale.jp/artists/tuan-andrew-nguyen.html
田村 友一郞(常々)は、1977年富山県生まれ、京都を拠点に制作活動をしています。かつての盆栽鉢製陶所の倉庫を改装した会場空間を、舞台の奈落に見立てつつ、上階では「プラザ合意」を主題にした人形浄瑠璃の公演が催されるという架空の設定を持ち込みました。
https://aichitriennale.jp/artists/tamura-yuichiro.html
尾花 賢一(旧急須店舗・旧鮮魚店)は、1981年群馬県生まれ、秋田県を拠点に制作活動をしています。人々の営みや、伝承、土地の風景・歴史から生成したドローイングや彫刻を制作。この世に広がる矛盾や不条理をあぶり出そうと、劇画調で描いた作品などを展示しています。
https://aichitriennale.jp/artists/obana-kenichi.html
常滑市は、平安時代末期頃から「古常滑」と呼ばれる焼き物の産地として知られ、同じ愛知県内の瀬戸と並び日本遺産に認定された日本六古窯の一つです。会場となる「やきもの散歩道」の町並みもまた特徴があり魅力的です。
④有松地区(名古屋市)
有松は慶長13年(1608年)に尾張藩が開いた街です。以来400年以上にわたって有松・鳴海絞りの伝統が継承されてきました。本会場では、名古屋市の町並み保存地区、国の重要伝統的建造物群保存地区であり、日本遺産にも選定された歴史的な風景に作品を展示しています。
ユキ・キハラ(岡家住宅)は、1975年アピア(サモア)生まれ。第59回ヴェネチア・ビエンナーレのニュージーランド代表に選出され、注目を集めています。サモアの伝統的なテキスタイル「シアポ」と振袖の文化的特色が融合した作品は、日本人の父とサモア人の母をもつユキ・キハラのアイデンティティを物語っています。
https://aichitriennale.jp/artists/yuki-kihara.html
有松地区会場の伝統家屋8軒の軒先などにリボン状の絵画を展示したのは、ミット・ジャイインです。1960年チェンマイ(タイ)生まれ、タイの少数民族ヨン族の出身です。江戸時代の浮世絵に描かれた有松の風景のなかで、絞り染めの反物が屋外で風にたなびく様子や店先の暖簾に着想を得ました。絵画が公共空間で鑑賞されることは、地域の歴史や伝統文化、そして人々の生活のなかに絵画を共存させる試みです。アーティストによる筆触を残した重厚なリボン状の絵画には、分断や境界を曖昧にし、その絵画に触れる私たちに、生き延びるためのポジティブなエネルギーを届けようとする作家の願いが込められています。
人々とアートの関係に向けたミット・ジャイインの思いは、本芸術祭の会期中73日間、毎日数点ずつ、計365点の小さな作品を観客に無償で提供し、その写真をSNSにアップしてもらう「1000回のカレンダー」にも現れています。これはまた、河原温が電報を30年間送りつづけた《I Am Still Alive》への応答でもあります。
https://aichitriennale.jp/artists/mit-jai-inn.html
■■さまざまなプログラム
2010年から3年ごとに開催し、今回で5回目を迎える本トリエンナーレ。国内最大規模の国際芸術祭の一つであり、国内外から多数のアーティストが参加します。
芸術監督に片岡 真実氏(森美術館館長、国際美術館会議(CIMAM)会長)を迎え、現代美術を基軸とし、パフォーミングアーツ、ラーニング、ガイドツアー、ワークショップなど多彩なプログラムが用意されており、鑑賞・体験も多角的なアプローチが可能になっています。
イベント情報(パフォーミングアーツ公演、ガイドツアー、ワークショップなど)
https://aichitriennale.jp/event/index.html
ラーニングプログラム詳細
https://aichitriennale.jp/learning/index.html
■■チケット情報、アクセスなど
最後にオフィシャルホームページ( https://aichitriennale.jp/index.html )には、チケット情報やアクセスのほか、ニュースや参加アーティストの紹介などコンテンツが充実しています。予習・復習で活用して国際芸術祭「あいち2022」を存分に楽しみましょう。
チケット情報
https://aichitriennale.jp/tickets/index.html
各会場へのアクセス、会場内の移動など
https://aichitriennale.jp/access/index.html
ニュース
https://aichitriennale.jp/news/index.html
参加アーティストの紹介
https://aichitriennale.jp/artists/index.html
愛知芸術文化センター
https://www.aac.pref.aichi.jp/
愛知県名古屋市東区東桜一丁目13番2号
tel:052-971-5511