EXHIBITION | KYOTO
黒田アキ(Aki Kuroda)
「UNDERGROUND2」
<会期> 2022年2月12日 (土)- 3月13日(日)
<会場> MORI YU GALLERY
<営業時間> 12:00-18:00 月火祝休
モリユウギャラリーは 2月12日(土)- 3月13日(日)まで、黒田アキ個展「UNDERGROUND 2」 を開催いたします。
本展では黒田アキの 1970 年代から最新作までの作品を展示いたします。
「地から図がはっきり遊離して、地の上に描かれ、、図の層と地の層とが多かれ少なかれ弁別できるような場合には、もちろん距離の存在も見易い。だが黒田アキの場合は、一見それがいかにも判然としているようでいて、よくよく見ていると、図はかならずしも地の層から遊離していないことがわかってくる。と同時に、なおかつそれは地にたいする図の関係を保ちつづけている。しかもそれは、図が地の層にまぎれこんでしまうことによってではなくて、まったく逆につねに地の層から離脱していることによって、なのである。つまり図は地の上方にあり同時に図のレヴェルにあり、かつ両者は離れている、という矛盾がここでじっさいに起こっている、とみるべきではないのか? そこのところが、黒田アキの絵が複雑な所以だろうとおもう。」
千葉成夫(東京国立近代美術館「メタファーとシンボル」展、1984、カタログより抜粋)
黒田は、1990 年代前後に描いていたブルーの人型や明快な絵画とは対照的に、最近では幼少期に影響を受けた本『ミノトール』 から着想を得た顔作品や自画像、想像の都市などを強烈なストロークと色づかいによって描いています。
1980 年代の絵画 ( 例え ば『連続の中の夜〈conti/nuit/é〉』) や 1980 年代中頃の絵画の線、1990 年代の絵画における海の底から現れたかのような青い 色の線、その後の 2000 年前後から描かれ始めた白と黒の絵画 ( 例えば『ミッドナイトスパゲッティ〈MIDNIGHT SPAGHETTI〉』 等の作品群 ) の線、またそれ以前 1970 年代に描かれたシュルレアリスムとの関係を想起させる作品の線、そして最新作となる力 強いストロークから生み出された線を比較した時に、それぞれの年代の線は、時代によってどのように変化してきたのでしょうか。
1990 年代前後から制作されたブルーの人型の絵画面におけるモチーフと背景。そのモチーフである人型を図 (figure)、背景を 地 (ground) と置き換えましょう。図としての人型は、時に何重にも線を重ねることによって地を彫るように塗り残され、生み出 されているともとれます。
また他の作品では、地を成していた線が、まるで海の海流が縺れながら生み出され、あたかも塑像され たかのように、また NOISE を伴ったビーナスのように描かれるともいえましょう。数人のキュレーターは、黒田アキの作品におい ては、地と図の関係が混沌としていると語ります。その理由はどこにあるのでしょうか。
最新作は、ブルーの絵画におけるような地と図の混沌を抜けて、強いストロークによる線 が顔となり表面に押し出され、画面から溢れんばかりに鑑賞者に迫りくる絵画を構成してい ます。黒田の隠されていた地としての線が表面化したような新作群は、明るさと強さに加え、 どことなく寂しげでありつつユーモアが隠されています。顔は時に丸い庭のようにも見え始 め、顔の構成要素たる線は、抜け道のように我々を宇宙へと引き込んでいきます。そこから また視線を移すと、顔の横に描かれた蛸が、視線の中心に現れ始め、顔は海底に沈む要塞と なり、さらにまた別のものへと繋がっていきます。
黒田の新作の線は、実は単に絵画の表面的なところに固定されたものではなく、ブルー の絵画と同様に、常に海の下で、宇宙という海の中で蠢き、縺れてはまた表面化し、海の上 に引き戻し、そして解けてはまた海面下に潜る線であると黒田は語ります。
本展は、1970 年代から最新作まで、黒田の線のありかを考えていただける機会となるので はないでしょうか。ぜひご高覧ください。
MORI YU GALLERY (モリユウギャラリー)
http://www.moriyu-gallery.com
京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19
tel:075-950-5230