EXHIBITION | TOKYO
花代(Hanayo)
「hanayo Ⅵ – Keep an Eye Shut I」
<会期> 2021年8月6日(金)- 9月11日(土)
<会場> Taka Ishii Gallery Photography / Film
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、8月6日(金)から9月11日(土)まで、花代個展「hanayo IV – Keep an Eye Shut I」を開催いたします。
80年代末よりそのキャリアをスタートした花代は、芸妓、モデル、女優、歌手、パフォーマー、写真家、アーティストなど多領域を横断しながらも「花ワールド」(Jérôme Sans)と評される無二の世界観を根源に独自の表現を展開してきました。この度、デビューから30年に渡る写真活動を総括する写真集『Keep an Eye Shut』の刊行を記念して、POST、アニエスベー ギャラリー ブティック、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムの3か所で個展を同時開催いたします。本展では、1996 年に開催されたタカ・イシイギャラリーでの初個展「花代」での展示作品を含む、1989年頃から1996年頃までの初期作品を中心に展示いたします。
中学校で写真部に入部した花代は、祖父の形見として父親からオリンパスのハーフサイズカメラを譲り受け、1989年頃から身の回りの事象や出会った人々を写真に収め始めます。高校時代には友人と同人誌「女子高生通信」を創刊するほか、カルチャー誌『宝島』の連載小説「東京トンガリキッズ」でモデルを務めました。19歳で半玉修行を始め、日本のテレビ番組や舞台などへ出演し、イギリスの雑誌『ザ・フェイス』の表紙を芸妓姿で飾るなど、一躍時代のアイコンとして活躍の場を広げていきます。それらの活動の傍ら写真を継続的に撮り続け、ロンドンへ渡った1996年に『ハナヨメ』で写真家としてデビューし、ヴィヴィッドで瑞々しいイメージで注目を集めます。1999年にベルリンへ移住すると、奇才と呼ばれる映画監督クリストフ・シュリンゲンズィーフと出会い、彼の舞台やパフォーマンスへの出演を重ねます。2010年に帰国後、新たな試みとしてモノクロ写真に取り組み始め、現在まで東京を拠点に写真を発表しつづけています。
本展では、その活動の前期にあたる1989年頃から写真家としてデビューした1996年頃までに撮影された初期作品を展示いたします。1996年は、のちに花代の作品世界において欠かすことのできない重要なモチーフとなる愛娘・点子が生まれた年でもありますが、本展にて展示される点子誕生以前の作品では、東京にある実家の一室や留学先のパリで撮影された作品が多くを占めており、点子をはじめとした花代の周辺の人々が頻繫に登場する渡英以降の作品とは対照的に、当時集めていたオブジェや人形などのおもちゃを被写体とし、彼女が生み出した虚構の景色が切り取られたシュルレアリスティックな世界が広がっています。花代は、これまでポートレイト、日常風景、アブストラクトなイメージなど、日常の身辺を心惹かれるままに撮影し、ハーフサイズカメラによる魅惑的な色彩やアナログの繊細なニュアンスに加え、露出過不足、現像ムラなど偶然の産物を取入れることで現実世界とはどこか異なる空想的な世界を結実させてきました。本展にて展示される初期作品にも既にそうした特徴が随所に表れており、作品の一貫性を見ることが出来ます。
表現とは一体何なのか。そんな事は舞台で何百回恥をかこうが、死ぬまで写真を撮り続けて、展覧会を半世紀やり続けようが、私には分からない。ただ言える事は、表現は自由のもとにしか存在しない。
花代『花代の世界 地下活動半世紀』より抜粋
単一の枠に留まることなく、多領域における特異な拡がりや連関の中で創作を展開し続ける花代は、これまで発表した写真作品の殆どにタイトルを付けずシリーズ化もしないなど、自身の作品においても特定の固有名詞やあらゆるカテゴリーとの結び付きを拒みます。そうして送り出されたイメージは、その独自のトーンをもってゆるやかに連鎖し、更には内包された時間や空間、場所などの付随情報からも解放されることで、この世界の美しさと儚さが交錯する花代の作品世界を形成しています。
Taka Ishii Gallery Photography / Film(タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム)
https://www.takaishiigallery.com/jp/
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
tel:03 5575 5004