EXHIBITION | TOKYO
安藤正子(Masako Ando)
「Portraits」
<会期> 2021年4月3日(土)- 5月8日(土)
<会場> TOMIO KOYAMA GALLERY
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
この度小山登美夫ギャラリーでは、安藤正子展「
【安藤正子と2016年以前の作品について】
安藤正子は1976年愛知県生まれ。
主な展覧会として、2012年に2 度目の個展として開催された原美術館での「ハラ ドキュメンツ9 安藤正子 ― おへその庭」があります。 子どもや毛糸の編み物、動物や草花などをモチーフに、
その絵の形は、2016年の個展「安藤正子 作品集刊行記念展『Songbook』」で出展された「うさぎ」
「そこまでの絵は、若い時代の人生の進み行きと共に、
【本出展作について – 木炭ドローイング
人の表情と気配、状況の細部を表現し「日本人」を描く】
本出展作は、
瀬戸への引っ越し、第二子の出産等の生活の変化に加え、
「以前の描き方で道を辿っていくうちに、
同時に、『日本人』を描きたい、と思ったのでした。
そして、制作を重ねる中で安藤は、自身が見ているのは、
そんな中、まずその感覚に合ってきたのは、
「ある時、ネグリジェを着た子どもの姿を描く時に、
【新作の陶のレリーフと水彩ドローイング
アンコントロールのバランスと、「暴力的に素直なまなざし」】
安藤にとって初の試みである陶のレリーフ制作のきっかけは、
粘土で形を細部まで追っておいて、釉薬で大きなイメージをコントロールする。全体の仕事と細部の仕事が混じり合わず、かつ素材の力も取り入れられる。その予感は的中、瀬戸市の新世紀工芸館にて、半年間レジデンスアーティストとして学び、陶による制作をはじめました。
陶という素材はまた、いままで唯一無二のペインティング、ドローイングを制作してきた安藤に一つの原型から、土や釉薬、焼きによって、「イメージの照準の置き場」を幾通りも変えた全く別の作品を作ることができるという大きな副産物をもたらしました。
本出展作の「ニットの少女 ll」「lll」「Ⅳ」は、同じ原型から作られています。ニットの編み目、強い意志を感じる少女のまっすぐな視線、そこに対する作家の眼差しと感情の揺らぎなど、安藤作品に通底するモティーフを手やヘラで彫刻的に緻密に形作りつつ、陶ならではの素材の力や釉薬、焼きの偶然性、作品ごとのバリエーションの変化が大きな特徴です。
一方水彩のドローイングは、暮らしからより瞬間的にピックアップされて作られた作品群です。以前のように頭の中のイメージから描くということはなくなり、日々撮り溜めた無数の写真から、絵として再構成し描かれています。
安藤自身次のように語ります。
「水彩ドローイングは、滲み方で自分の思っていたのと違うところに絵がオチをつけてくれるのが面白く、それは陶とも通じるところが多いです。水彩は手軽だし、半分はコントロール、半分はアンコントロールみたいなことがすごくいいバランスでできるようになって、とてもリラックスした、でも集中した状態で描いています。」
少女と黒い手袋などが描かれた「生きている首」、ダンボールに入った姿の「拾ってください」など、タイトルとあわせて見ると、まるでイメージと色彩と共に詩が織り成されるようです。
安藤は「リアルのゆくえ」の展覧会図録の中で、次のように書きました。
「いい絵は、宇宙人が描いたように見える。暴力的に素直なまなざし」
「大きな真実のための無数の小さな嘘、とボナールは言った。芸術ってそういうものだと思う。そんなふうにしてこの世のふしぎをうつしていく」
様々な表現方法を模索し、「絵」を探求し続ける飽くなき情熱。アンコントロールを楽しむ余裕を得ながら、「暴力的に素直なまなざし」で、日々を見つめ、「絵」を作る。
安藤の新しい挑戦をぜひご高覧ください。
TOMIO KOYAMA GALLERY(小山登美夫ギャラリー)
http://tomiokoyamagallery.com/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
tel:03-6434-7225