EXHIBITION | TOKYO
山本尚志(Hisashi Yamamoto)
「入口と出口とフタと底」
<会期> 2019年12月7日(土)- 2020年1月22日(水)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
*2019年12月27日(金)- 2020年1月13日(月祝)の期間、展覧会は開催しておりません。
このたび、書家の山本尚志の個展を開催いたします。山本は、1969年に広島市に生まれ、20歳のときに 書家・井上有一の書に出会ったことをきっかけとして本格的に書の世界を志しました。 のちに山本は、井上のカタログレゾネの制作にも携わっています。
伝統的・旧来的な書に囚われない今日的な書のあり方を模索するなかで、山本は、 「モノにモノの名前を書く」という方向性を確立しました。たとえば、山本の作品では、 原始的な絵文字を思わせる、簡略化された画像のなかに、カタカナの単語などの簡潔な文字 (=モノの名前)が書かれます。これは、絵でも書でもない二重否定の書とは異なる、 絵としての文字と文字としての書との唐突な接続、共存を模索するものであると言うこともできるでしょう。 こうした山本の実践は同時に、現代美術と現代書道という、異なる二つの領域を横断しながら、 アーティストとしての自己を確立する過程であったはずです。
従来の徒弟制度や書道団体とは距離を置きながら制作を進める山本の作品は、書における現在性、 そして自由とはなにか、という問いに突き動かされたものでもあります。本展は、前半期が山本の個展、 後半期は山本がキュレーションする書家のグループ展となる、二期に分けて開催いたします。
■アーティストステートメント
「入口と出口とフタと底」について
この世に入口と出口は存在するか。入口は母親だとしても、世の中には決定的な出口は存在しない。 出口、すなわち突破口だと思っていたら、見事にフタをされて、どこにも行けない、なんてことは 日常的にあるわけで、「うまくいかない」ことだらけの世の中に我々は何故か生を受け、何故だかこうして生きている。
ただこうして生きていて、なにかの瞬間に、「あ、今自分は生きている」と腑に落ちる瞬間がある。アスリートなら、好タイムが出たとか、演奏家なら、良い音が出せたとか、そのほかほんの些細な ことでも、人は腑に落ちることがある。
私にとって先達の書家・井上有一はそれを作品制作において「底が抜ける」と表現した。私は 彼を目標にしてここまでやってきたが、私にとっての「底」とは、実際に書いてみると、こんなものだという気分だ。
そしてそれは、出口なのかフタなのかと思っていたら、底、底と思っていたら入口、というようにまるで螺旋のような姿をしているに違いない。
山本尚志
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku (ユミコチバアソシエイツ)
http://www.ycassociates.co.jp
東京都新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿#206
tel:03-6276-6731