EXHIBITION | TOKYO
髙山陽介(Yosuke Takayama)
「かえり」
<会期> 2024年12月14日(土)- 2025年1月18日(土)
<会場> ANOMALY
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休 *冬季休廊:2024年12月29日(日)- 2025年1月6日(月)
ANOMALYでは2024年12月14日(土)から2025年1月18日(土)まで、髙山陽介 個展「かえり」を開催いたします。
髙山は一貫して木を主な素材とし、コーヒーの缶や新聞紙といった異素材も用いながら、自分自身や身近な友人、偶然出会った人々や動物をモデルに、日常を独自の視点で抽象化したカラフルでユニークな形状の首像を多く制作してきました。首像の制作に留まらず、正面性を強調したレリーフやセルフポートレートとしての木版画の制作も平行して取り組んでいます。また、彫刻作品における台座の在り方を探求することも含め、現代における彫刻表現の新たな可能性を追求しています。
2019年以来ANOMALYでの2度目となる本展では、「突然目の前に現れる、存在することと存在しないことの象徴である猫」と、「こちらの世界とあちらの世界を隔てる擁壁」を題材にした2つの新シリーズを展示します。これらは見えない境界への共通の興味から生まれた作品群で、頭部作品や高さ2メートルほどの大型レリーフ作品を含む、約15点を展示いたします。
デジタル技術の活用など様々な選択肢が存在する現代の彫刻制作の中で、あえて木を掘るという伝統的な素材とテクニックを用い、彫刻の概念に挑む髙山陽介の新作に、どうぞご期待ください。
新作の首像のシリーズでは猫をモチーフに、作品の下半分を曲げた鉄の棒で構成するという初めての試みに挑戦しています。髙山はこれまで、作品の収納、輸送用の箱としても機能し台座までを含めて彫刻の一部と捉える作品を制作してきました。今回の台座部分は、彫刻を支えるには不安定とも思われる形状の黒い線で構成され、擬音表現(「ピョン」や「ぴゅーっ」といった)を表すような形になっています。
近年、髙山の作品に猫が頻繁に登場するのは、彼が猫を飼い、身近な存在であることとも由来します。また、草むらから聞こえる音や物陰の気配を猫と認識したり、人を見ている時でもその奥に猫の姿がよぎるような瞬間が多々あるということがベースとなっています。これらの経験から、時々の心情や記憶の重なりが「見る」ことに大きく影響し、それが像の形成につながるという髙山の考えが反映されています。
「見る」ことと「認識する」ことの差異への興味、それを物理的な形で表現することで生じるズレへの探求が、彫刻作品として具現化されています。
本展に出品される新作の大型レリーフ群は、髙山のアトリエと自宅の間にある細く暗い坂道沿いのコンクリート擁壁をモチーフとしています。作品の表面には、カラフルな穴がランダムに配置されており、その独特な表情が印象的です。
髙山は、日々のアトリエからの帰り道で目にする擁壁の小さな丸い水抜き穴がどこに繋がっているのか、中には何がいるのか、無機質な壁に不規則に配置された穴が、昨日と今日で本当に同じ場所に存在しているか確信が持てないような不気味さに魅了されていると言います。
また姿を変えている坂途中の擁壁と小さな穴。
上には家がある。
隣には藪がある。
どこまで続いているのかわからないけれども
奥からは音が聞こえる。
見つめてみたけど返事はない。
気配に期待し立ち止まっている帰りの道辺。
髙山陽介
ANOMALY(アノマリー)
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