EXHIBITION | TOKYO
フランク・ニーチェ(Frank Nitsche)
「欧州の荷物」
<会期> 2015年1月17日(土)- 2月21日(土)
<会場> NANZUKA
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
この度、NANZUKAはドイツ人アーティスト、フランク・ニーチェの個展を開催致します。本展は、2011年の東日本大震災時に当ギャラリーにて開催された個展より約4年ぶりの新作展となります。
フランク・ニーチェは、1964年、ドイツ、ゲルリッツ(Gorlitz)生まれ。ゲルハルト・リヒターを輩出したドレスデンの美術アカデミー(Hochschule für Bildende Künste)を卒業。同時期に学んでいたトーマス・シャイビス(Thomas Scheibitz)やエバハルト・ハヴェコスト(Eberhard Havekost)らと共にドレスデン派などとも呼ばれ、現代のドイツ絵画を代表する一人として国際的に高い評価を受けている作家です。
ニーチェの絵画は、視覚言語に於ける抽象形式と具象形式を画面上で融合させた合成的表現として捉えることができます。表現の素となるモチーフはマスメディアが配信し現代社会を充満させる無数のイメージ、大量に消費されるプロダクト製品などです。それらの印象を変形し、破壊と創造を繰り返すことで、その作品は最終的にはっきりとした有形の抽象的イメージへと再構築されます。
制作のプロセスは、デジタルのグラフィック編成より始まりますが、その中に含まれる基本的な幾何学形態(線と形)は全体像の一要素として、様々な形を作り出すだけではなく、画面の多層化や多次元化を促します。ダイナミックな線に対し、静まり返った様な表層という組み合わせは、思考と近くの差異を複雑さと明快さとして暗喩的に表現し、相反しつつも互いに同盟を結ぶ様な表裏一体の関係であることを示唆しています。ニーチェはこれら二つの認識行為の近似性を絵画表現に置き換え、現実世界で共存する方法を作中に暗示しています。
こうした二元論的主張は彼の作品の中で重要な役割を果たします。両極間で作用し合う調和と不調和、静と動、対称と非対称。相反するそれらはつかの間の内面的一致を思わせ、うつろいでゆく。現実世界に存在する物体を純粋な幾何学形の中に錯覚させるようなこうした表現は、彼にとって俯瞰的視野に気づかせることではなく、むしろ我々の認識や習慣に対して多少の皮肉を交えた挑戦とも言えます。
また、ニーチェの作品は現代の視覚認識あるいはその構造を映す鏡であると同時に、キュビズムや構造主義を生んだ西洋美術史への言及も含まれています。彩色とコントラストに重きを置き、近代の作家が考えた補色効果の原説を今日の文脈で再定義することで、作品のイメージが促す知覚作用に100年の奥行きを与えているのです。
本展に寄せて、アーティストが三度目の来日を果たし、1月17日(土)18:00〜アーティストを囲んでのオープニングレセプションを行います。 本展を皆様にご高覧頂ければ幸いです。
NANZUKA(ナンズカ)
https://nanzuka.com/ja
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