EXHIBITION | TOKYO
花代(Hanayo)
「hanayo Ⅲ」
<会期> 2017年4月8日(土)- 5月13日(土)
<会場> Taka Ishii Gallery Photography / Film
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、4 月 8 日(土)から 5 月 13 日(土)まで、花代個展 「hanayo Ⅲ」を開催いたします。花代は、自身の日常を幻想的な色彩で切り取る写真やコラージュ、またこれらに音楽・立体表現を加えたインスタレーションや前衛的なパフォーマンスなど、領域横断的な制作を国内外で展開し、独自の表現を追求してきました。タカ・イシイギャラリーで 3 度目の個展となる本展では、日々のささやかでかけがえのない瞬間を 8mm フィルムで象徴的に捉えた映像作品と、粒子の表現が美しい実験的な写真作品を展示します。
芸妓、モデル、女優、歌手、パフォーマー、写真家、アーティスト−−花代はその活動の最初期より、ある単一の分野に軸足を置いて活動する既存の作家像としては語ることのできない、多領域における特異な拡がりや連関の中での創作を展開してきました。その総体には「花ワールド」(Jér∆ôme Sans)と評される独自の世界観が通底しており、他文化に触れる中で培われた花代の飽くなき好奇心や瑞々しい感性・直感は、数多くのクリエイターやアーティストとのコラボレーションにも結実しています。
作為をもって世界を美しく描こうとはしないが、美しき世界に棲み続け、身のまわりに彩を与えることには貪欲だ。(……)常に流動しながら刺激的で奇妙で心地よく可笑しさに満ちた物事へと接近し続ける。驚くほど精力的に素早く。
東谷隆司、2002年「花代」展、(於、ギャラリー小柳)に寄せて
そうした花代の作品世界にあって、渡欧以降、長らく中心的位置を占めてきた愛娘・点子が成人し、その創作は新たな局面に入りました。本年2月にMOT Sateliteで発表された、自身のルーツを顧み、そこに立ち現れる繋がりの連鎖に普遍的な表現のかたちをみるインスタレーション作品は、「第三次性徴」と題され、転換への作家の意識を強く反映したものとなりました、。こうした点子から「卒業」した花代が、一人の作家、また一人の作家、また一人の存在として、生命の辿る経過に思いを馳せ、生に対して微視的な視線を改めて投げかけたのは、ごく自然なことであったように思われます。本展で展示される 8mm フィルムで撮影された 3 分弱の映像には、友人のもとに誕生したばかりの第一子、咀嚼する口や蠢く指、あるいは水面に乱反射する光などが、夢幻的な詩と音楽を背景に親密な視点で収められています。かけがえのない一瞬一瞬を慈しみ、またそこに感じた美しさの体験を分かち合い留めおこうとする花代の映像作品は、ある特定の瞬間を記録しながらも時間や空間・対象といった付随情報を失い、無限と刹那の煌めく断片を提示しています。
作家として今一度創作に向き合う態度は、写真というメディウムの可能性の再発見というかたちでも表れてい ます。花代が子供時代に祖父の形見として譲り受けて以来、長年愛用しているオリンパスのハーフサイズカメ ラで撮影した写真は、魅惑的な色のトーンとアナログの繊細なニュアンスに溢れ、また露出過不足やブレ・ボ ケ、フィルムの傷みや現像ムラなど偶然の所産をも取り込みながら、幻想的なイメージを形成してきました。 昨今、暗室体験を通じて像を生み出す精緻な過程に触れた花代は、自身の制作において中核的要素であるアナ ログ写真の粒子の美しさをより際立たせる実験的なプリントを制作しました。その作品群は、ポートレイト、 日常風景、アブストラクトなイメージなど、初期より一貫して日常の身辺を写しているものの、そこに定着さ れたイメージはより抽象的な印象を帯び、沸き立つような色彩と光の描写が全面に押し出されています。
協力:畠山直哉、手塚眞、南川史門、Leo Pellegatta
Taka Ishii Gallery Photography / Film(タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム)
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