EXHIBITION
日高理恵子(Rieko Hidaka)
「見ること−作品集1979-2017より」
<会期>2018年9月8日(土)- 10月6日(土)
<会場> TOMIO KOYAMA GALLERY
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
この度小山登美夫ギャラリーでは、NOHARAでの『日高理恵子作品集1979ー2017』刊行を記念し、日高理恵子「見ること─作品集1979-2017より」を森岡書店と同時開催致します。
日高理恵子は、30年以上一貫して樹を見上げて、樹と空と、自身との間にある測りしれない空間を見、感じ、描き、独自の絵画空間をつくりあげてきました。 今までに国内外で数多くの個展を開催していますが、昨年2017年ヴァンジ彫刻庭園美術館で開催された「日高理恵子 空と樹と」は、展覧会とあわせ刊行された『日高理恵子作品集1979ー2017』と共に大きな反響を呼びました。
【日高作品について】
日高自身「私にとって絵を描くことは “見ること”」(『日高理恵子ー見ること』カタログ、2011年)と語るように、日高の作品制作にとって、「見ること」、そして「見れば見るほど測りしれない」という感覚は何より大切なものです。野外での制作では、顔と空が並行になるくらい首を曲げ、視点を連続的に動かしながら途方もない時間をかけて鉛筆でドローイングを描きます。そして日本画の岩絵具によるモノトーンの絵画としてスケールアップして制作します。
私たちは、樹を見上げた視点で描かれた日高作品を壁にかけられた状態で鑑賞することで、頭上の光景を水平に眺めるという不思議な感覚におそわれるでしょう。そして作品に描かれた無数の枝、葉、幹、花芽の存在感と共に、樹に包まれているような感覚、枝の先が空に向かってのびていく空間的・時間的な視野の広がりを感じるのです。
哲学者、青山学院大学特任教授の小林康夫氏は日高作品に関して次のように述べています。
「わたしはいま理解する、あの絡みあう枝は、彼女を抱き包む空間の<手>だということを。樹とは、彼女にとって、空間が彼女を抱き包む無数の<手>が生まれる場所。空間に<手>が生えてくる場所。だからこそ、日高理恵子の絵画は、大きな画面となって、抱き包む空間そのものとならなければならないのだ。」
「・・(中略)日高理恵子の作品を見るとき、ーとても難しいのだがーわれわれは、樹の枝を「対象」とする眼差しをもってそれを見てはならないことになる。そのような対象措定的な眼差しとは異なる、もうひとつの包み包まれ、触れ触れられるような、対象なき空間の広がりをこそ、そこに感じとらなければならない。それは、ほとんど空間にさわるように見るということにほかならない。」
(小林康夫「木蓮の樹の下でー<不可能な距離にさわるように>」、『日高理恵子作品集1979ー2017』、NOHARA刊行、2017年)
【本展について】
本展では、作品集に収録の約100点の中から日高が絵画、ドローイング、版画作品を選び、それぞれの空間に再構成します。
小山登美夫ギャラリーでは、1980年代前半の初期作品、2017年の「空との距離」シリーズ最新作などを展示致します。森岡書店では、版画作品「樹の空間から」シリーズ、および『日高理恵子作品集1979ー2017』を展示致します。会期中には小山登美夫ギャラリーにて小林康夫氏(哲学者、青山学院大学特任教授)、森岡書店にて須山実氏(エクリ主催・編集者)とのトークイベントも開催致します。
現在の日高作品の原点となった大学の卒業制作「樹」(本リリースメイン画像、1983年)から30年以上、描く対象も画材も一貫していますが、日高の樹や空に対する姿勢や感覚は常に変化をし続けています。この貴重な機会にぜひご高覧ください。
TOMIO KOYAMA GALLERY (小山登美夫ギャラリー)
http://tomiokoyamagallery.com
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
tel:03-6434-7225