EXHIBITION | TOKYO
植松奎二(Keiji Uematsu)
「-見えない力と浮くこと-」
<会期> 2019年10月19日(土)- 11月30日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
2019年10月19日(土)より、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjukuでは、植松奎二の「-見えない力と浮くこと-」を開催いたします。
植松奎二は、1969年の初個展以来、鉄や石、ガラスなどを用いた彫刻作品のほか、映像、写真、インスタレーションなどを制作してきました。1975年に渡独した後は、欧州各地のギャラリーや美術館で個展を行うなど、精力的な活動を続けています。1988年にはヴェネツィア・ビエンナーレ日本代表に選出され、2013年には第38回中原悌二郎賞を受賞するなど、その一貫したコンセプトに基づいた作品群は、国内外で高い注目を集めてきました。現在は、日本とドイツにアトリエを構え、制作を行っています。
本展は、植松が1973年に京都のギャラリー16で行ったインスタレーションを、作家自身の手により再制作するものです。植松は、これまでも身体と空間の関係や、事物と事物の関係、そして重力や張力などの「見えないもの」を目に見える事物を通して可視化する作品を手がけてきました。今回再現される、石、板、ロープが精密なバランスで均衡する作品は、植松のそのような関心を、きわめて明確に提示するものです。それは、個々の「もの」という具体的かつ形而下的なものを通じて、「構造」「関係」「存在」などの普遍的かつ形而上的な対象を捉える試みでもあるでしょう。同時に、精密なテンションによって成立するこの作品は、崩壊の予兆をはらみつつ持続する持続的な状況のなかで事物相互を均衡させることで維持されています。こうして、目には見えない「時間」という要素をもはらむ植松の彫刻的実践は、同時代の彫刻の状況ともリンクしつつ、きわめて独自のものであり続けています。また、この作品の均衡状態が、石、板、ロープという、それぞれに異なる固有の機能・性格をもつ事物の性格を活用し、引き出すことで成立しているという点も、注目すべきかもしれません。
この度再現される展示は、初期の植松の根幹となる思考を伝えるものであると同時に、その仕事がいかに一貫した関心のもとに持続してきたかを伝える実例となっています。本展では、インスタレーションのほか、ドローイングや写真などを併せて展示し、その活動を振り返ります。
■アーティストステートメント
今回、ʻ72年の身体を使った一番最初の写真作品と立体作品の再制作の関係性と浮く石の記憶(2019)でもって過去から現 在、未来をみようとしています。
“僕は以前から宇宙の如くそこにある全体的な構造や物体の不確かな存在やそれら相互の関係がもしそのうちの一つの要素 が欠けたら瓦解してしまうであろう、そういったものを作りたいと思ってきた。 全体の関係を維持しているものは何であるのか またその関係をこわして全く別な関係を生じさせるのは何か、それが僕にとって気がかりな事である“(1992)
僕たちは重力がなければ生存できない。重力は宇宙を含めて全てのものを支配する。僕は目に見えない重力のかたちを空間の中に作ろうとしてきた。
この様な考えかたが今回の個展のなかにみえてくると思います。
植松奎二
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku (ユミコチバアソシエイツビューイングルーム新宿)
http://www.ycassociates.co.jp
東京都新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿#206
tel:03-6276-6731