EXHIBITION | TOKYO
アピチャッポン・ウィーラセタクン(Apichatpong Weerasethakul)
「Solarium」
<会期> 2024年3月16日(土)- 5月25日(土)
<会場> SCAI THE BATHHOUSE
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
拡張した時間にまたたく光の効果によって、アピチャッポン・ウィーラセタクンの作品は、孤独な夢、近しい身内の物語や抑圧された集団の記憶など、心の片隅に追いやられた不穏な心理を予感させます。
幼少期に夢中になったホラー映画に着想をえたウィーラセタクンの新作《ソラリウム》(2023年)[1]は、ガラスの両面に映し出される2チャンネル映像のインスタレーションです。盲目の妻を救うため、患者の眼球を盗んだ狂気の医師(マッドドクター)を描くタイ映画『The Hollow-eyed Ghost』(1981)を再現し、暗闇のなかで自身の眼球を探しさまよう男の姿が映し出されますが、彼はやがて日の出の太陽によって破壊されてしまいます。そして、ホログラフ・フィルムが貼られた映写用のガラスパネルに亡霊が浮かび上がり、鑑賞者のいる物理空間に息づき始めます。
亡霊は、映画監督のように、いつも光を体験するための装置を探しています。このタイトルは、この夢のような状態から逃れられず、自ら作り出した日光浴室(ソラリウム)に永遠に閉じ込められ、日の出の暖かな光を待ち望む亡霊を暗示しているのです。(作家談)
本作は、幾何学、光、知覚、動きのスタディを掘り下げることで、ハンス・リヒター、マルセル・デュシャン、フェルナン・レジェといった産業革命や映画初期の実験的アーティストへのオマージュとなっています。
本展はまた、ウィーラセタクンのドローイングを一般公開する初めての機会となります。 モノクロームの表現は、夢、スケッチ、ランドスケープやボディースケープを描き出し、作家が影、曖昧さ、映画のフレームといった主題にいかに強い関心を抱いてきたかを物語っています。
あわせて展示されているのは、さまざまな時間の表現を集めた《Boxes of Time》(2024年)です。ギャラリーには5つの箱が置かれ、それぞれの箱には2分から1年までの時間を圧縮して撮影された52枚の写真が収められています。収められた写真は移動と変化の感覚を伝え、各々の箱は時間がどのように体験され知覚されるのかについて、異なる視点を投じています。
本展は、SCAI THE BATHHOUSEでの7年ぶり5度目の個展となります。
SCAI THE BATHHOUSE(スカイザバスハウス)
https://www.scaithebathhouse.com/ja/
東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
tel:03-3821-1144