EXHIBITION | TOKYO
ケニー・シャーフ(Kenny Scharf)
「I’m Baaack」
<会期> 2023年6月10日(土)- 7月9日(日)
<会場> NANZUKA UNDERGROUND
<営業時間> 11:00-19:00 月火休
この度NANZUKAは、アメリカ人アーティスト、ケニー・シャーフの個展「I’m Baaack」を開催します。 本展は、シャーフにとって、日本のプライマリーギャラリーにおける展覧会として、約30年ぶりとなる新作個展です。本展覧会は、NANZUKA UNDERGROUND(渋谷区神宮前)の他に、草月会館(港区赤坂)との2会場にて開催いたします。草月会館においては、イサムノグチ石庭における新作の立体彫刻作品のインスタレーションに加えて、1985年に草月会館が主催した「アートインアクション」展の際に、シャーフ自身がペイントと改造を施したキャデラック「夢の車」が38年ぶりに限定公開される予定です。
ケニー・シャーフ(1958年生まれ, カルフォルニア州, アメリカ)は、1980年に NYのSchool of Visual Artsを卒業。その後、アンディ・ウォーホルをメンターとして、グラフィティやコラージュを主要な表現スタイルとする「イースト・ヴィレッジ・アート・ムーブメント」の一員として、バスキアやキース・ヘリングといった同世代のアーティストと共に一躍大きな脚光を浴びました。1985 年には、ホイットニー・ビエンナーレに参加。自身のユニークな創作を説明するために「ポップ・シュルレアリスト」という用語を生み出しました。近年の展覧会に、 個展「Moodz」 (Jeffrey Deitch, CA,アメリカ, 2020)、 「Super Pop Universe」(Lotte Museum of Art,ソウル, 韓国, 2018)、「Fast Forward _Painting from the 1980’s」(Whitney Museum of American Art, NY, アメリカ, 2017)、「Hammer Projects」 (Lobby Mural Hammer Museum, CA, アメリカ, 2017) など多数。現在では、独自のキャラクターを駆使したアート作品という21世紀型ポップアートのトレンドに繋がる文脈を切り開いた先駆者として、多くの若いアーティストの尊敬を集めています。
シャーフの作品の特徴は、何と言ってもカラフルな色彩と独自のキャラクターにあります。「原始家族フリントストーン」や「宇宙家族ジェットソン」のファンを公言するシャーフは、こうした漫画アニメの引用から自身のキャラクターの着想を得たと語っています。宇宙人とも巨大化した微生物とも、植物の妖怪のようにも見えるシャーフのキャラクターについて、シャーフは自分自身や友人たちのメタファーであり、怒りや喜び、眠気、空腹といったごく自然な感情を表していると解説します。また、その色彩も、私たちのあらゆる感情を表すものと説明します。シャーフの作品における動き、スピード感は、そのまま即ち生命感という最も重要な文脈を担います。
本展覧会のためにシャーフが描きあげた新作には、変幻自在に形を変え、飛び回ったり、動き回ったりと表情豊かなキャラクターたちが登場します。それは、良い意味でも悪い意味でも、私たち人間の自由な姿を連想させます。完成した作品を注意深く見ると、楽しげに飛び交うキャラクターの背景に、日本語で「温暖化」、「見えぬ道筋」、「原告」、「医療システム整備」といった言葉が散りばめられています。今回の日本での個展にむけて、シャーフは、日本語の新聞を集め、私たちが現在向き合っているテーマに関するキーワードを画面の中に忍ばせました。「ダイアー・ヘッドライン(悲劇的な見出し)」とシャーフが呼ぶ本シリーズは、自分たちが生きる世界には、多くの困難や不条理があるが、それでも前向きに乗り越えて生きて行こうとするシャーフの想いが託されています。若い頃に、ドラッグやエイズなどで多くの友人を失った経験を持つシャーフにとって、あらゆる社会の問題が、その創作活動の背景にはあるのです。
また、今回NANZUKA UNDERGROUNDにおいて、ゴミとして捨てられた古い玩具や衣類、プラスティックや家電といったファウンドオブジェクトとブラックライトを用いて壮大な空間を創造するインスタレーション「Cosmic Cavern」を発表します。本作品は、1981年にキース・ヘリングと同居していたスタジオとPS1にて初めて発表し、その後1985年のホイットニー・ビエンナーレにて大きな話題となりました。空間を丸ごとビビットなネオン色に変換し、没入型の視聴体験を提供するこの作品は、光のシャワーでゴミをアートに昇華するというシャーフの芸術を象徴するシリーズとして現在も進化を遂げ続けています。本展ではNANZUKA UNDERGROUNDにて発表します。
本展のために、シャーフが35年ぶりの来日を果たします。本展覧会のレセプションは、6月9日(金)に、招待制にて、草月会館とNANZUKA UNDERGROUNDの2会場にて開催致します。また、6月10日(土)15:00より草月会館にて、ケニー・シャーフと勅使河原季里氏によるトークも予定しております。
本展を何卒皆様にご高覧頂けると幸いです。
NANZUKA UNDERGROUND(ナンズカアンダーグラウンド)
https://nanzuka.com/ja
東京都渋谷区神宮前3丁目 30-10
tel:03-5422-3877