EXHIBITION | TOKYO
三嶋りつ恵(Ritsue Mishima)
「祈りのかたち」
<会期> 2023年4月22日(土)- 5月27日(土)
<会場> ShugoArts
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
私は年の初めや折に触れて神社へ参拝に行くが、手を合わせた先に配置された鏡や真っ白な紙垂にいつも見入ってしまう。博物館にある古来の神具を眺め、なぜこのような形態なのかと不思議に思う。私は人々が目に見えない何かを敬うために、作りつづけてきた「かたち」に惹かれる。
ここ3年くらいの間に、家族や友人が他界し、また大切な人を亡くされた方に出会う機会が多くあった。人はいまここにある現実を超えて、誰かに想いや祈りを馳せるとき、何らかのフォルムを求めるのではないだろうか。以前から自分のガラスにも神秘が潜んでいるように感じていた。今回改めて「祈りのかたち」を探求する旅を始めようと思う。
2023年3月 三嶋りつ惠
昨年、三嶋りつ惠は日本人アーティストで初となるヴェニスの国立アカデミア美術館で個展を開催した。展覧会を通じて三嶋のヴェネツィアンガラスの文化や歴史に対する深い造詣と革新的な表現が認められ、同時期に開催されたヴェニスガラスウィークの「最優秀プロジェクト賞・Fondazione di Venezia Award」を受賞する結果となった。また三嶋の国境を越えるパワフルな活躍はアートにとどまらず、建築、工芸、ファッション、デザインと様々なジャンルにインスピレーションを与えており、輝く女性としての功績を讃えるブルガリ アウローラ アワード2022にも表彰された。
1989年にヴェニスに移住し、やがてムラノ島のガラス工房に通い始めた三嶋りつ惠は、当初より光そのものを作品の重要な要素とし、その豊かな表情や陰影を無色透明のガラスを通して表現し続けてきた。その背景には常に原初的な造形と私たちを取り巻く環境への鋭い感性と洞察がある。
「祈りのかたち」は三嶋が長年の制作を通して、構想を培ってきたコンセプトである。私たちは、記憶の中に存在する誰かを思い起こすとき、強い信念に導かれるとき、また生かされていることに感謝を感じるときに、象徴的なものを拝したり、身につけたりすることで力を得る習慣がある。この世界には様々な次元のレイヤーが存在しており、それらと現実を「かたち」を通して繋ぎ合わせることで私たちは生かされているのかもしれない。それゆえにこの世に「かたち」をもたらすことは真に根源的で創造的な行為ともいえる。光の芸術家・三嶋りつ惠の新作を是非ご体験ください。
2023年3月 シュウゴアーツ
ShugoArts (シュウゴアーツ)
https://shugoarts.com/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
tel:03-6447-2234