EXHIBITION | TOKYO
倉田悟(Satoru Kurata)
「2P」
<会期> 2022年12月17日(土) – 2023年1月21日(土)
<会場> TOMIO KOYAMA GALLERY
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休 冬季休廊:2022年12月25日(日)ー 2023年1月4日(水)
この度小山登美夫ギャラリーでは、倉田悟展「2P」を開催いたします。
今回SUNDAY、CAPSULE(池尻、東京)でも個展を開催、3ヶ所で同時に新作を発表します。
倉田悟の作品には、仮面のような動物化した人間や、擬人化された動物が、静謐な存在感と、ユーモラスでありながら時に不穏さを帯びて描かれます。
作品に繰り返し登場するモチーフは、夕暮れ、海、夜、車、卵、寝るという行為など、作家の記憶に強烈に残っている「極めて個人的」な経験から着想を得ているといいます。
そうしたインスピレーションと、デジタル・ドローイングや物質的な制作プロセスとの反復の間で、倉田は「イメージの解像度を上げたり下げたり」することで、絵画でしかありえない表現を模索します。
独特のパースペクティブやビビッドな色彩、光の処理や描線はどこかデジタル画像を想起させる一方で、それらは絵具の繊細な厚薄や何も塗らない麻布のまま残された処理、筆触といった絵画の物質的要素と、キャンバスのスケール感という人間の身体との関係からできています。
本展は倉田が近年取り組んできた、画面を複数に分割するシリーズで構成されます。
作家はこれまでも類似した手法を用いてきましたが、新作においては各登場人物から見た一人称の異なる景色が、
分割により一つのキャンバスに共存することが特徴です。
こうした構成は、鑑賞者に自身の記憶や夢のワンシーンを追体験しているかのような印象を与えると同時に、倉田が「作者も鑑賞者の存在も介在しない自閉的な視覚空間を作ろうとしている」と述べるように、絵画史に遍在する、画中のできごとを俯瞰する三人称的なまなざしへの挑戦でもあります。
絵を見ているのは誰か、絵を見るとは何か、という絵画における根本的な問いを誘発させる倉田の新作を、ぜひこの機会にご高覧ください。
絵の存在はなにを見ていて、誰がそれを見ているのか。
目の前に何もなくても「なにか」を描くことはできる。
だがその場合、図像がうまれるのと同時にそれを見ている透明な観察者も漠然と存在させることになる。
それは誰なのだろうか。作者のまなざし、あるいは単なる三人称視点とも言えるが、影のように自然発生するだけにそれは不気味な存在でもある。
このまなざしの問題について以前から考えている。「P」と呼んでいる連作は画面を複数に分割し、それぞれを絵の中の存在の視点で描いたものである。
ふたつの空間は同時的で、第三者のまなざしのない閉じられた二人称の絵になる。
ここでは見るものは見られるものでもあり、互いが互いを見ることによってはじめて存在する。
倉田悟
TOMIO KOYAMA GALLERY(小山登美夫ギャラリー)
http://tomiokoyamagallery.com/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
tel:03-6434-7225