EXHIBITION | TOKYO
レオノール・アントゥネス(Leonor Antunes)
「the homemaker and her domain, IV」
<会期> 2022年8月6日(土)- 9月3日(土)
<会場> Taka Ishii Gallery (complex665)
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
タカ・イシイギャラリーは8月6日から9月3日まで、ポルトガル人アーティスト、レオノール・アントゥネスの展覧会を開催いたします。アントゥネスの当画廊での初個展となる本展は、新作と、2017年から2021年のあいだに制作され今回のために再編成された近作とで構成されています。アントゥネスは国際芸術祭「あいち2022」の参加作家でもあり、出品するのはともに「主婦とその領分」の作品です。芸術祭と本展をあわせて鑑賞していただくことで、パリではじまったこのシリーズの全体像が明らかになるでしょう。
セラミックのインスタレーション「間接照明、グループ2」と、「シャルロット」シリーズの作品、そして新作の「道子」と「道子2」によって、アントゥネスはホワイトキューブ空間を、とある主婦の領域へと作り変えます。タイトルからもわかるように、「シャルロット」と「道子」は、デザイナーのシャルロット・ペリアン(1903-1999)と山脇道子(1910-2000)の生涯に影響を受けた立体作品です。アントゥネスは、たとえばテキスタイルのパターンなど、二人のデザインを根本的な手がかりとして、多次元の文脈を備えた立体作品に発展させています。また、毎回の展示空間にあわせてこれらの作品に変更を加えることも続けていて、「シャルロットI」「シャルロットII」「シャルロットIII」の装飾にもともと使われていた植物が、今回はアントゥネスが本展のために自ら撚り合わせたロープに置き換えられています。ロープは植物の有機的な形態を模倣するかたちで取り入れられ、植物が世話を要するのと同様に、ある程度の手入れが必要となっています。
ペリアンと山脇は両名とも、日本とヨーロッパに深く関わった女性でした。ともに海外に渡り、まったくあたらしい環境で学び制作するという数年を過ごしました。パリで建築家・デザイナーとして独立し活躍していたペリアンは1940年、ドイツによってパリが占領されると、商工省の工芸指導顧問として来日しました。高名な茶人の娘である山脇道子は、夫の山脇巌のバウハウス留学のため、ドイツに移住しました。自身もバウハウスに入学することを決めましたが、当時、女性が建築などの「男性的な」科目を専攻することはほとんど不可能であったため、ドローイング、織物、写真などを学びました。
異国の地で「ロスト・イン・トランスレーション」のような期間を経験した二人のデザイナーの作品と人生、そして彼女たちのアートについての誤解や誤伝が、アントゥネスの制作にとって重要な指針となっています。そうした指針とともに、与えられた展示空間、その地に根付く工芸の技術、モダニズムの伝統の遺産などの上に、アントゥネスの作品は成り立っています。アントゥネスは、興味を抱いた建築やデザインの各要素を計測することから制作をはじめ、計測した値をユニットとして用いて立体作品へと変換していきます。世界中のものづくりの技法を活用し、ロープや皮革、コルク、木材、真鍮やゴムなどを使いながら、独自のフォルムを生み出すのです。アントゥネスが創出する稀有な空間を体験することは、観客であるわたしたちにとって、歴史や建築、そしてアートをさまざまな観点から捉え直す好機となるでしょう。
レオノール・アントゥネスは1972年、ポルトガルのリスボン生まれ。現在ベルリンを拠点に活動。リスボン大学美術学科にて学士号(視覚芸術、彫刻)取得後、ドイツのカールスルーエ州立美術アカデミーに進学。近年のおもな個展に、ルクセンブルク大公ジャン近代美術館(2020年)、サンパウロ美術館(2019年)、ルフィーノ・タマヨ美術館(メキシコ・シティ、2018年)、ピレリ・ハンガービコッカ(ミラノ、2018年)、ホワイトチャペル・ギャラリー(ロンドン、2017年)、サンフランシスコ近代美術館(2016年)。2019年にポルトガル代表として参加した第58回ヴェニス・ビエンナーレをはじめ、第57回ヴェニス・ビエンナーレ(2017年)、第12回シャルジャ・ビエンナーレ(2015年)、第8回ベルリン・ビエンナーレ(2014年)など、数多くの国際展
Taka Ishii Gallery (タカ・イシイギャラリー)
https://www.takaishiigallery.com/jp/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F
tel:03 6434 7010