EXHIBITION | TOKYO
高松次郎(Jiro Takamatsu), デイヴィッド・シュリグリー(David Shrigley)
「レンガと脚立とネオン」
<会期> 2020年7月18日(土)- 8月29日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjukuでは、ギャラリーオープン当初より、毎年高松次郎が行った制作活動を紹介し続けてきました。本年は、2020年7月18日(土)より、二人の現代美術作家、高松次郎とデイヴィッド・シュリグリーの作品で構成する企画を開催いたします。
イギリスを拠点に活動するシュリグリーは、ドローイングや彫刻など、多様な表現媒体を通じて、ユーモラスかつ脱力感のある作品を手がけてきた作家です。今回ご紹介する、赤いネオン管で「EXIBITION」という文字が造形された作品は、文字通り、展示会場の壁面に掲げられています。そこには、いわゆる「制度批評」と呼ばれる、美術作品が置かれる場や制度自体に対する批評性があります。ですが、ひょろひょろとした手書き文字を思わせるその造形からは、同時に、シリアスな現代美術のあり方からはあくまで距離を取ろうとするシュリグリーの戦略を垣間見ることができるでしょう。もちろんシュリグリーは、ネオン管による文字が、60~70年代のコンセプチュアル・アートで多用されたことも意識していたはずです。
60~70年代のコンセプチュアル・アートの黎明期、日本におけるコンセプチュアルな傾向を牽引した高松次郎は、1971年にレンガの上に一本の脚立の脚を載せ、脚立全体を傾けた《複合体》を手がけています。高松のこの作品は、「もの」の単一性や複数性、そして事物相互の「関係」などの概念をきびしく問い直すものとして、コンテンポラリー・アート史上の歴史的問題作であり続けています。
シュリグリーが展示する、展示会場内に掲げられる「EXIBITION」の文字は、半ば自明の事柄であるがゆえにユーモラスです。しかし、このような無意味性ゆえに、「EXIBITION」のネオンは、その文字がもつ意味を脱臼させ、文字や言語というものの存在のありように、問いを投げかけています。同じように、高松の《複合体》もまた、脚立の機能を部分的に失効させることにより、「もの」それ自体の存在のありようについて再考させる作品であると言えるでしょう。両者の作品は、対象からそれがもつ意味や機能を剥奪することで、そのものの存在について改めて見つめ直す機会を与えているようにも感じられます。
時代も国も異なる二人のアーティストが手がける、ミニマルで知的な作品の邂逅を通して、物事を認識することの多様さと広がりを感じ取っていただければ幸いです。
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku(ユミコチバアソシエイツビューイングルーム新宿)
http://ycassociates.co.jp
東京都新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿#206
tel:03-6276-6731