EXHIBITION | TOKYO
鈴木理策(Risaku Suzuki)
「Mirror Portrait」
<会期> 2016年11月26日(土)- 12月24日(土)
<会場> Taka Ishii Gallery (complex665)
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
タカ・イシイギャラリー東京では、11 月 26 日(土)から 12 月 24 日(土)まで、鈴木理策個展「Mirror Portrait」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーにて初の個展となる本展では、2016 年にハーフミラー(半透鏡)を使って撮影された新作のポートレイト写真を展示いたします。
「肖像写真とは撮られることを知っている人物の写真だ」リチャード・アヴェドン*
ミラーポートレートのきっかけはこの言葉だったかもしれない。カメラの前で人は多かれ少なかれ撮られることを意識する。それに対し、撮影者は被写体との心的な距離や関係性を画面の中に持ち込むか、もしくは被写体を物質的に扱うことで写真を成立させようとする。これらは言わば肖像写真の両極で、過去に写された全ての肖像写真はこの2極の間のいずれかの位置に収まってしまうだろう。
鏡に映る自分の姿を見つめる人を鏡の内側から撮影する時、撮影者は見返されることはない。<撮る><撮られる>という関係から解放され、被写体は鏡を見ながら気に入った表情を探し、私の視線には圧倒的な権利が委ねられる。鏡の中に自らの表情を定めた人々の記録は、彼らのセルフポートレートでもある。風景の撮影と同様、自らを消す様にしてシャッターをきる。私の写真は機械による知覚の純粋さを求めているからだ。
*’Jacob Israel Avedon’ by Richard Avedon, Camera Magazine, November, 1974
鈴木理策は、これまでの作品において、「見るという経験とは何か」を問いかける装置として写真をとらえ、写真の特性と視覚の問題に関心を向け続けてきました。撮影者の眼、存在する対象をありのままに映し出すカメラという光学機械、それらをつなぐ媒介としての光、撮影者の意識外にある外界の揺らぎ、そして現像された写真のイメージ同士の繋がり、それらが組み合わされて「見る」という持続的な経験が写真において成立し得ると鈴木は考えています。その独特な視点は「KUMANO」(1998年)「PILES OF TIME」(1999年)、「サント・ヴィクトワール山(Mont Sainte Victoire)」(2000年)「熊野、雪、桜」(2007年)などの代表作品にも通底しており、発表時より高く評価されてきました。
本展で発表される、鈴木の初めての試みであるポートレイト作品は、タカ・イシイギャラリーの新拠点となる六本木・complex665を撮影場所として行われました。ハーフミラー(半透鏡)に隔てられることによって、撮影者と被写体の視線が交差しないまま撮影が行われています。撮影者が自らの視線を消して、被写体が自らを見つめることで、主体と客体のあいだに存在する世界を写真が見せてくれるのかもしれません。鈴木のまなざしを追体験することによって、私たちは新たな「見ること」へと誘われるでしょう。
Taka Ishii Gallery (complex665)(タカ・イシイギャラリー)
https://www.takaishiigallery.com/jp/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F
tel:03-6434-7010