EXHIBITION | TOKYO
草間彌生(Yayoi Kusama)
「モノクローム」
<会期> 2016年6月25日(土)- 7月30日(土)
<会場> OTA FINE ARTS
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
米誌「タイム(TIME)」が発表した2016年版「世界で最も影響力のある100人」にて日本からただひとり選出された草間彌生。2014年には「The Art Newspaper」が発表した世界の美術展の入場者ランキングを元に「世界で最も人気のあるアーティスト」と評され、翌2015年にも大規模な回顧展が東アジア、中南米、北欧諸国を巡回しました。さらに2017年以降、北米巡回展や東南アジア巡回展が予定されているなどその勢いはとどまるところ知りません。
本展では草間彌生のモノクロームの世界観を「無限の網」と呼ばれる絵画シリーズを中心にご紹介いたします。一見、白やグレーで塗られた単色の平面に見えますが、近づくと緻密な筆致で描かれる無数の弧の集積が画面を成していることがわかります。ひとつひとつの弧が孕む凹凸や濃淡によって微妙に変化し続ける表面は、強い物質性を保ちながら限りなく繰り返されるリズムを生み、鑑賞者の視線を釘付けにします。
草間彌生は今日、水玉や南瓜などのモチーフ、カラフルでポップな作品でよく知られていますが、その原点はモノクロームの「無限の網」のシリーズにあるといえます。1959年、ニューヨークではじめて発表された同シリーズは、黒い背景を白い網目で覆い尽くし、一層の白でグレーズするという手法で描かれました。その高い独自性と芸術性は「日本人であり、女性」という作家としての物珍しさを超越し、ドナルド・ジャッドやドア・アシュントンら美術評論家たちの賞賛を浴びます。
草間によると「水玉」の集積を反転したものが網の目であり、両者はネガポジの関係にあります。これらのパターンの反復手法の出発点はどこにあるのか。
ーカンヴァスに向かって網点を描いていると、それが机から床までつづき、やがて自分の身体にまで描いてしまうー
幼少期から身の回りが網や水玉などの同じ模様で覆い尽くされるという幻覚に襲われていた草間は、強迫観念に駆り立てられながら同じモチーフを繰り返し描くことで、自らの内的イメージを解放し恐怖を克服してきたといえます。
世界的な芸術家となった現在も折りにふれ原点に立ち返るように描かれる「無限の網」は、草間にとって重要な作品群であることが伺えます。本展のために描かれた新作3点を含む5点の「無限の網」と、「水玉」1点をこの機会にご高覧ください。
OTA FINE ARTS(オオタファインアーツ)
https://www.otafinearts.com/ja/
東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F
tel:03-6447-1123