EXHIBITION | TOKYO
渡辺えつこ(Etsuko Watanabe)
「News」
<会期> 2015年12月5日(土)- 12月26日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
2015年12月5日(土)より、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku にて、渡辺えつこ個展”News”を開催いたします。
渡辺は、国立デュッセルドルフ芸術大学でゲルハルト・リヒターに師事し、以来、約30年間に渡りドイツを拠点に活動してきました。これまで、見慣れた日常の光景の中に潜む異質な場面を巧みに見つけ、それを一つの風景として絵画の世界に置き換えることで、私たちの認識がどのように現実を捉えているのか現実が認識される過程でどうやってずれていくのかを描き出しながら、一方では絵画そのものの在りようについて問いかけをしてきました。
ドイツ在住時、渡辺はふと目にした受信障害によるテレビ画面の粒子の乱れに着目します。テレビの映像が乱れる一瞬を撮影し続け撮りためた写真は数百枚に渡り、渡辺はその中から一枚を選定して模写を始めました。そうして出来上がった本作は、伝統的な点描画のようであり、細かいドットによって不安定に繋がれたイメージは本来テレビが伝達するはずの意味性を超え、「不可解で得体の知れないもの」となって眼前に現れます。
さらに、同じショットから連なる二枚の絵画を、筆圧やマテリアルを変えて描きます。それらを並列させて展示する試みは、人間の視覚による「ズレ」を生じさせ、視覚認識による奇妙なリアリティーを作り出そうとするものです。それは記録されたイメージではなく、新たな記憶としてイメージが認識される瞬間でもあります。
この機会に是非ともご高覧ください。
■ 作家コメント
2013年よりテレビのニュース画像をモチーフとして扱っている。今回メインに展示するドローイングは地デジ画像が受信障害によって砂嵐状態になっているものをモチーフとし、油彩の方は昨年展示した「ピクチャー イン ピクチャー」シリーズの展開で、個人情報の理由から画像にフィルターが掛けられ、日常的な情景が異化されてしまっている日本のニュースのものを使っている。
デジタル化によって画像はシャープでフラットとなり、不具合はあってはいけないもの、無いことが当たり前となっている。不都合なものは素早く取り除かれ障害のないものが提供される。そんな日常に忽然と目の前に現れた不具合や異化された画像に、絵が生まれ出る予感を感じてしまう。視覚情報としては成立しなくなっているこれらの不具合画像は、それ自体が脱構築してしまっている状態とも言えるだろう。そこに可能性を直感的に感じたのかもしれない。
目の前を流れて過ぎてゆくこういった動画のワンショットを拾い上げて描くことは立ち止まって考えること。描くことによって表され、示されるのものは動画や写真とは別のリアリティーを語りだす。
2015年11月 渡辺 えつこ
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku(ユミコチバアソシエイツビューイングルーム新宿)
http://ycassociates.co.jp/
東京都新宿区西新宿 4-32-6 パークグレース新宿#206
tel:03-6276-6731