EXHIBITION | TOKYO
松田修(Osamu Matsuda)
「みんなほんとはわかってる」
<会期> 2017年7月15日(土)- 8月12日(土)
<会場> MUJIN-TO Production
<営業時間> 火-金 12:00-20:00 / 土日 11:00-19:00 *8月11日(金祝) 11:00-19:00 月休
無人島プロダクションでは、松田修展「みんなほんとはわかってる」を開催いたします。
松田はこれまで、社会に潜在するさまざまな問題や事象を、松田自身のユニークな生い立ちや経験に基づく独特の視線によって作品化してきました。その作品は、現在の社会に対するカウンターであったり、アートに対する愛憎であったりと、さまざまな顔・表現方法を持ちますが、松田は一貫して人間の本質や普遍性を追求する態度で制作に臨んできました。
今回松田が新作制作にあたり、まず注目したのは、「検索にひっかからない、まだカテゴライズされていない(けれども実在している)存在や事象」です。
これまで松田は作品中で、シリアルキラーや引きこもりなど、いわゆる世間の日陰者やひとりぼっちの存在、マイノリティーな存在を題材にしてきました。ですが、作品を制作し続ける中で、松田自身が、そういった存在を乱暴にカテゴライズし、そのカテゴリーを前提としながら、あえて、そういう存在・対象を探しているのではないか?と自分に疑念を抱いてしまったといいます。そして、自分だけではなく、社会全体が、カテゴライズされたりテンプレート化されたりした「言葉」や「思想」、「思い込みのイメージ」といったものに、左右され続けているのではないか?と考えはじめたのです。そのような「思い込み」や「決めつけ」から脱出し、「いまだ名付けられてない存在」に目を向けることが本展企画の目的となりました。
本展では、松田らしさ全開の、さまざまな作品が並びます。松田自らがレイシスト、フェミニストなどに扮し、「〇〇主義者」としてセリフを言い、「テンプレート化した〇〇主義者」を茶化したようなビデオ作品「さよならシュギシャ」。たまたま知り合った会社員の女性に悩みを108個(!)聞き、それを編集したビデオ作品「【煩】だれもしらない【悩】」。格差や階級といった、何千年も社会が抱える問題を腹芸で描いた「この世界を腹隅に」。世の中のスピードにあわせてどんどん情報が消費されアップデートしていく間に「過去の大きなムーブメント」が現在では「普通」になってしまった事象を、アメリカ80年代にパンク・ムーブメントと深く関わったレイモンド・ペティボン作品を引用してドローイングで表現した「もう普通」シリーズ。
どの作品も「カテゴライズ」や「テンプレート化」された社会から必死に、滑稽に脱出しようとする態度が、ユーモアたっぷりに描かれています。
松田は本展に対するメッセージとしてこう言っています。
「自然に、もしくは無意識に行ってしまう呪いのようなカテゴライズや思い込みから脱出しようとしたら、誰でも無様で醜く、大変だ。大変だけど、新しい景色を見るためには、いつでもそんな無様さが伴うって、みんなほんとはわかってるんじゃないかな?」
果たして、私たちは何が本当に「わかって」いて、何が「わかって」いないのでしょうか。それを確かめに、そして松田の言う、現状脱出のための「無様で滑稽な 」態度を観に、是非会場に足を運んでください。
MUJIN-TO Production (無人島プロダクション)
https://www.mujin-to.com/
東京都墨田区江東橋5-10-5
tel:03-6458-8225