EXHIBITION | TOKYO
村瀬恭子(Kyoko Murase)
「Only Yesterdays」
<会期> 2024年12月21日(土)- 2025年2月1日(土)
<会場> Taka Ishii Gallery (complex665)
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
タカ・イシイギャラリーは 12 月 21 日(土)から 2 月 1 日(土)まで、村瀬恭子の個展「Only Yesterdays」を開催いたします。本ギャラリーで 13 回目の個展となる本展では、新作 7 点を発表いたします。
村瀬は近作単色を好んで用いており、表現の追求に焦点が当てられていることが窺えます。モノクロームの世界において色は色彩の次元を離れ、光としての価値をもつのかもしれません。また「少しずつ少しずつ布を織るようにして」描くという作家の言葉通り、這うように、流れるように、はたまた空間や存在の手がかりを追いかけるかのように画面に載せられる筆致は、作品に独特の質感を生み出しています。実体のある物(オブジェクト)も、手では掴めないもっと感覚的・知覚的なもの-風や光、音、においのような-も村瀬の絵の中では均等な意識のもとに置かれ、絵筆でそれらを紡いでいく作家の感性を私たちは見ることができるでしょう。
「昨日のこと」
毎日座る場所から毎日同じ風景。一番手前のベランダには、せっせと育てた鉢植えが並ぶ。ベランダ越しに流れる小さな川とその先の土手には色とりどりの雑草が勢いよく、春になればユキヤナギが白くなり、対岸に並ぶ桜の木々はピンクに染まる。私の視界はミルフィーユ状に重なって、昨日とはそのバランスが少しだけ変わり、夜には何もかもが消え水音だけが近くなる。
2024年 村瀬恭子
ここでいう「昨日」とは制作の源となる日々のことであり、生活や散歩の中で見る風景、ものごと、そして作家自身が感じることを指しています。それら日常の要素はすべて何らかの形で描くという行為へ落とし込まれ、制作に向かう気持ちの支えや導きとなるものも、常に身の回りや自分自身の中に見つけ出されます。
…描いていくうちに画面が軽くなってくる。不安になったら耳を澄ます、頼りは河原でひっくり返した石の下、乾いた部屋の匂いとか、陰ったトンネルのその先とか。どこに居ても繋がって何度となく繰り返し現れては消えていくようなもの。
経験の記憶は画面に留め置かれてゆきます。そうして立ち現れる世界は不確かさを抱えながら浮動しつづけ、見るものの五感に触れます。
Taka Ishii Gallery (complex665)(タカ・イシイギャラリー)
https://www.takaishiigallery.com/jp/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F
tel:03-6434-7010