EXHIBITION | TOKYO
杉戸洋(Hiroshi Sugito)
「cut and restrain」
<会期> 2019年3月16日(土)- 4月13日(土)
<会場> TOMIO KOYAMA GALLERY
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
小山登美夫ギャラリーでは、杉戸洋展「cut and restrain」を開催致します。本展は小山登美夫ギャラリーでの6度目の個展となり、新作を発表致します。
【杉戸洋、近年の活躍】
杉戸は1990年代の活動初期から国内外での活躍が目覚ましく、幾多もの展覧会に参加してきました。さらに近年は国内の美術館で立て続けに個展を開催し、グループ展にも数多く参加するなど益々躍進を遂げています。
2015年には宮城県美術館「天上の下地 prime and foundation」と静岡のベルナール・ビュフェ美術館にて「frame and refrain」を同時期に開催。2016年の豊田市美術館での個展「こっぱとあまつぶ」では建築家・青木淳とコラボレーションによる会場構成も手がけました。そして2017年、東京都美術館での個展「とんぼ と のりしろ」では、前川國男設計の美術館建築を丹念に読み込み、常滑のタイルによる幅15m、高さ4mの大作「module」を含め、空間に呼応するような作品制作、展示を構成。本展において平成29年度(第68回)芸術選奨、文部科学大臣賞受賞するなど高い評価を得ました。
また、2017年松濤美術館で開催された「三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館」、2018年富山県美術館での「三沢厚彦 ANIMALS IN TOYAMA」にも参加し、三沢厚彦を中心に舟越桂、小林正人、浅田政志と共同で展示、公開制作も行いました。作品が共鳴しあい、変化していく状況を生み出したこの展覧会は、大きな話題を呼びました。そして現在森美術館で開催されている「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(2019年2月9日[土]- 5月26日[日])では、新作5点の連作「triple decker」を出展しています。
杉戸はいまや、日本の現代アート界で欠かすことのできない、重要な作家の一人であると言えるでしょう。
【本展、および出展作に関して】
前回、2017年の小山登美夫ギャラリーでの個展「frontispiece and end leaf チリと見返し」では、六本木の通常の展示スペースではなく、普段見せる事のない倉庫と、展示室と展示室の間のアプローチ部分を使用しました。その空間の壁色の差異や構造から本の「チリ」や「見返し」を着想し、その要素を分解。タイル作品の深みのある釉薬と配置のリズムを融合させ、観る人を驚かせる新たな空間を生み出しました。現在出展中の森美術館の「六本木クロッシング2019展:つないでみる」においては、杉戸は「2:3または2/3ということを考えながら構成を組んでいきました」と言います。
本展に関して、杉戸自身次のように述べています。
「そこ(前回の六本木、及び森美術館での展示)からさらに切り込みを加えて行くことで調整をして行こうと。単純に言うならば、静物画を描く場合モチーフが先に決まるのか後なのかわからないけれど、一旦全てどかして、まず下に来るものから見つめてみたいと思います。」
本展では新作を発表し、約3×2mのキャンバス2点と、それらを中心に小作品が加わります。普段制作で使用している素材、木枠とキャンバス地で、引っ張ったり緩めたり、作家が「テンションや撓みの言うとこを聞きながら」、貼り合わせた物を展示していきます。
【建築と作品が相互に作用し合う場:杉戸作品の世界観】
近年杉戸は、いわゆる「絵画」の枠にとどまらず、建築と作品が相互に作用し合う場を作り出し、新たな展示空間を生み出しています。
それはいわゆる「インスタレーション」とも違い、一つの作品にはそれぞれ独自の「空間」が構成され、作品と作品、作品と私たちのいる展示空間の間には、杉戸洋という作家の思考と入念なリサーチ、プロセス、時間、そして色彩と余白が幾十にも重なり合わされて、作品空間全体からまるで豊かな音楽のリズムや旋律が聴こえるかのようです。
東京都美術館学芸員の水田有子氏は、杉戸作品を次のように評しました。
「私たちがそこ(杉戸作品)に接したとき、どこか懐かしい感触が思いがけずよみがえることもあれば、考えても決して分からない深淵を覗き見ることもある。どんな絵であっても、それぞれが異なる尺度を持つ一つの空間だとすると、その違いや隔たりの中に自ら手を伸ばそうとする私たちの時間のなかにも、さまざまな感覚や思考や記憶や想像力が動き出す『のりしろ』が広がっているのかもしれない。』
(水田有子「『のりしろ』に広がる光と時間 杉戸洋の絵と空間をめぐって」、「とんぼとのりしろ」展覧会カタログ、東京都美術館、2017年)
鑑賞者は杉戸の世界観から、世界は一つの方向や視点ではなく、様々な角度から構築され変化し続けるものだということに改めて気づかされます。
そして、純粋に作品を見ることの楽しさ、そして新たな想像力を生み出す自由さも味わうことができるでしょう。杉戸は、自らがとらえた現象世界の知覚を作品にあらわそうと真摯に探究し続けており、これからも、杉戸の表現への考察、実験は続けられます。
二度目の六本木での展示空間での個展、今回杉とは空間にどのように向き合い、どのような作品世界を生み出すのでしょうか。ぜひご高覧ください。
MORI YU GALLERY (モリユウギャラリー)
http://www.moriyu-gallery.com
京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19
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