EXHIBITION | TOKYO
小平雅尋(Masahiro Kodaira)
「他なるもの」
<会期> 2015年2月7日(土)- 3月7日(土)
<会場> Taka Ishii Gallery Photography / Film
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムでは、2月7日(土)から3月7日(土)まで、小平雅尋個展「他なるもの」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの初めての個展となる本展では、約14点を展示いたします。「他なるもの」というタイトルは、ドイツの宗教哲学者R.オットーが『聖なるもの』(1917年)の中で、非合理的である聖性の本質として提示した概念「ヌミノーゼ(畏怖と魅惑という両義的体験を引き起こす神秘)」を示すために用いた「全く他なるもの」という表現に由来しています。
世界と自分との関係性に「意味のある偶然」が潜むことを感じた小平は、その「偶然」に触れた時の感覚を落とし込み、他者と共有する媒体として写真表現に取り組むようになりました。
…撮影は直感の中にある。…理由がわからなくとも対象から受け取った感覚を信じること、例えば胃が少し引っ張られるような鈍い違和感、それが過ぎ去る前に撮っておく。ひどく繊細な無意識からの信号は様々なかたちで現れ、方法として確立しないが、撮影を繰り返すことで未知の感覚、又は長い間忘れていた感覚へ降りてゆけるような気がする。
小平雅尋 2013年3月23日
(個展「他なるもの」(2013 年)に際し寄せた文章より抜粋、http://www.kodairam.com/#!text/c5is)
テーマやモチーフの設定により生じる先入観や合理的な理解を排除したスナップショットの手法で撮り押さえた小平の作品群は、風景写真でも身辺雑記でもなく、「日常の社会的な状態にある自身の意識においては気付くことが困難な、生き物としての深い欲望、根源的な謎、畏れといったもの」に対して小平が示した反応の集積であると言えます。
一人でキャンプをしながら誰とも口を聞かずに撮影を続けていたり、部屋に居て窓の向こうを眺めている時、突然理由なき恐怖に襲われることがある。何なんだこの世界は。自分の手や体を見下ろしてみて、これは一体何だと思う。社会などとは無関係に、何故自分が存在しているかも全くわからぬまま、この世界に無防備に晒されているという、外界に対する強い畏れの感覚と、同時に現れる恍惚。
小平雅尋 2013年3月23日
(個展「他なるもの」(2013 年)に際し寄せた文章より抜粋、http://www.kodairam.com/#!text/c5is)
点在する要素を喚起悪的に収めた写真を意識的に見るという行為は、無意識と意識の邂逅をもたらし、偶然以上の何かを探求する契機となります。2箇所同時開催(詳細次ページ)となる本展覧会において小平は、自身の直感が反応する要素を陰と陽に分けて作品を展示することで、「他なるもの」を2つの系統としてとらえなおす試みを行っており、本展は作家のこれまでの活動の一つの集大成であると見ることが出来るでしょう。
Taka Ishii Gallery Photography / Film(タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム)
https://www.takaishiigallery.com/
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
tel:03-5575 5004