EXHIBITION | TOKYO
塩見允枝子(Mieko Shiomi), 植松琢磨(Takuma Uematsu)
「星をめぐる冒険」
<会期> 2019年3月16日(土)- 4月27日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
今回の二人展は、植松琢磨が塩見允枝子に声をかけたことから、コラボレーションが始まりました。
植松琢磨が塩見允枝子の作品に初めて触れたのは、8才の頃にピアノで弾いた「星の形をしたワルツ」という曲集でした。それから20年以上の時を経て、ある展覧会で塩見が企画するパフォーマンスに植松が参加し、二人は出会います。それは、2001年に国立国際美術館で行われた「ドイツにおけるフルクサス」という展覧会。その年は植松が作家として活動を始めた年でもあり、この出会いはその後の植松の制作に大きな影響を与えることとなります。
塩見允枝子は、日本で最初の即興演奏集団「グループ・音楽」を小杉武久や刀根康尚らと結成し、大学在学中より作家としてすでに活動をしていましたが、1963年にナム・ジュン・パイクと知り合い、パイクを通じてフルクサスを知り、翌年ニューヨークに渡ってその活動に参加します。形式にこだわらず、ジャンルを超え、常に不断の変化を求めて、日常を脱して流れと融合を繰り返すフルクサスの考えと行動は、まさに自身が音楽について考えていたことと同じでした。塩見はそこで、自然や日常の中のさまざまな事象を対象とするイヴェントと呼ばれる作品を作ります。
個人的体験の充足ではなく、他者や外部とより広く世界を共有するためのコミュニケーションの在り方が作品となり、地球を一つのステージと考え、自然や日常の中のさまざまな事象を対象として、その行為の中で偶然的に生まれるものを作品とする塩見の表現方法は、まさに植松が「人間も含め自然の流れのようなものを作品に取り」(*対談より抜粋)込もうとし、時間や次元を超える装置を作ろうと追っていたものでもありました。
今回、そうした二人がお互いの世界観を共有しながら、くっついては離れ、離れてはつながることを繰り返しながら、作品が生まれました。
展覧会の会場で流れるものをぜひ体験していただけましたら幸いです。
「星をめぐる冒険」
「All men have stars, but they are not the same things for different people.」
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの代表作である「星の王子さま」より。
物語を読んだことがある人なら容易に想像できるが、「人間はみんな、ちがった目で星を見てるんだ」というこの一説は人それぞれに固有の世界観があることを示唆する。
天体や宇宙に対する私たちの態度は、時代、国、民族の違いはもちろん、地域特有の伝説や神話、占星術、SF を通しての視点など、個人の体験によっても異なる様相を見せる。
「星をめぐる冒険」は、自然に魅了され、自然の事象を対象として制作してきた塩見允枝子と植松琢麿、年齢も経歴も違う2人の対話と思索だ。それ䛿新しい物を生むというより、「流れ」「場」「状況」「偶然性」「音楽」「知識」といった要素を材料としながら、日常䛾新たな視点に触れる創造の旅である。そこで䛿、いつも予測を超えた何かが起こる。
■作家ステートメント
音だけでなく 水のような物質や影・落下といった現象 方向・バランスなどの概念や ときには天体の出来事さえも 想像的に係わりたいと願う魅力的な対象である — 少女時代 自然に魅せられた私はそれを捕まえることを夢想した 音楽でも絵画でも文学でもない 何かもっと直接的な方法で — 長じて作成した個々の作品は その方法を模索した痕跡に過ぎず その旅は今も続く
塩見允枝子
自然は、ダイナミックに振動し回転する総体であり、そこでは全ての関係性が流動的だ。そして生命は、モノとモノとの動的な関係性に生じ、それは、まさに時間とともに現れるきらめく現象と呼べよう。
偶然性と緊張感を孕みながら更新されていく想像的な世界において、装置なのか、場なのか。そんなきらめきを放つ作品を見てみたいと思っている。
植松琢磨
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku(ユミコチバアソシエイツ)
http://www.ycassociates.co.jp/
東京都新宿区西新宿 4-32-6 パークグレース新宿#206
tel:03-6276-6731