EXHIBITION | TOKYO
和田咲良(Sakura Wada)
「 )( 」
<会期> 2025年3月8日(土)- 3月29日(土)
<会場> TOMIO KOYAMA GALLERY Tennoz
<営業時間> 11:00-18:00 日月祝休
この度小山登美夫ギャラリー天王洲では、和田咲良展「 )( 」を開催いたします。
本展は作家にとって弊廊での初の個展となります。
【和田咲良と作品について
-「相互交渉」「ヒント」を示す、能動的で多面的な鑑賞の独創性-】
和田咲良は1999年神奈川県生まれ、昨年2024年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域を卒業し、同年「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI2024」藪前知子賞、小山登美夫賞を受賞。今までに4度個展を開催しています。
制作は、絵画を基軸とし、生活に馴染みのある布や刺繍などを用いながら、インスタレーション、映像、パフォーマンスなどジャンルに縛られない多様な表現方法で展開してきました。
それは、彼女が作品の大きなテーマとしてかかげる「相互交渉」「ヒント」を示すものとなっています。
他者との関係の均衡性、パワーバランスへの深い興味から「絵画を壁にかけて一方的になりがちな鑑賞を避ける」ために、絵画自体に足をつけて自立させたり、壁のように巨大であったり、表にも裏にも描かれたりと、見る人と作品が相互に関係しあい、作品自体がなにかの気づきのヒントになるような能動的で多面的な鑑賞を促する独創性があります。
【本展および新作に関して
「表と裏」、視線や目、空間を活かした一方的な関係でない作品世界】
本展覧会タイトル「 )( 」に関して、和田は視覚的なシンボルとして捉えており、読み方としては「外向きの丸括弧」となること、またこのタイトルについて次のように述べています。
「小説で主人公が思っていることの表現として使われる丸括弧が外側に向いて、開かれているようなイメージでつけてみました。他者には隠していたり読み取ることができない感情を裏として、表と裏がひっくり返っているような感じです。私の作品では『表と裏』というのは重要なキーワードで、この展覧会タイトルは作品を読み解くためのヒントにもなります。
「」をギャラリーの空間として、その中に )( 外側に向いているものがある。ように見えて、面白いかな、思います。「 )( 」この形が目に見えます。今回の展示では視線や目みたいなものが絵画上のサブテーマになっているためダブルミーニングになります。」
和田作品において、裏から面からも同じ柄ができる刺繍や、レゲエ音楽のレコードで「dub」という裏面収録の楽曲リミックスが「裏面だけで作られた表面」として成立することの面白さも、一方的な関係でない作品世界をつくりあげる大事な要素となっています。
モチーフに犬がよく登場するのは、たとえば人が飼い犬をしつけでたたく行為から見えるしつけと愛情の絶妙なバランス、「ペットとしての犬」の不思議な存在性への関心からであり、それは親子、男女、他者との間での力関係、関連性への言及へも広がっていきます。
新作「夢をみる」は3mを超えた大作であり、ギャラリー空間入って正面の壁に展示される予定です。モチーフの人物は目を隠し横たわり、犬は凛とした目で人にはだかり一見不均衡な関係に見えますが、その裏のスタッフルーム側の壁に逆の構成の絵(眠っている犬と起きている人)を置くことで、ギャラリーの空間を見てまわって発見し、表と裏の両面で見え方が変わるような絵にしたいいう想いが込められています。
また、動物でも人でもないように描かれる狼男は、大人でも子供でもなく中間的存在であり、バランスがとれていない反抗期の自分の凶暴さも投影された存在です。
幼いとき好んだぬいぐるみや馴染みある柔らかな素材、物語など、見る人それぞれの記憶を想い起こすようなモチーフも相互交渉のヒントとなるでしょう。
それぞれの人によりものの見方は異なり、また時間と空間と距離はその関係性を変えていく。
和田の作品世界を体感しにぜひお越しください。
TOMIO KOYAMA GALLERY Tennoz(小山登美夫ギャラリー天王洲)
http://tomiokoyamagallery.com/
東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex Ⅰ 4F
tel:03-6459-4030