EXHIBITION | TOKYO
吉田志穂(Shiho Yoshida)
「測量|山」
<会期> 2016年7月14日(木)- 8月20日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休 *夏季休廊:8月11日(木)- 8月18日(木)
2016年7月14日(木) より、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku にて、鷹野隆大のキュレーションによる吉田志穂 個展 「測量 | 山」を開催致します。
これが普通の加工・合成写真だったら、なんの興味も持たなかっただろう(ここで言う「普通の加工・合成写真」とは、現実にあり得ない瞬間を、さも現実であるかのように作り込んだ写真のことを指す)。しかし吉田志穂は探究する。写真という媒体を使って。
例えば一年前の個展(1WALL グランプリ受賞展)。作者は印画紙にプリントした自分の写真を再び撮影した作品を展示していたが、それは写真というものが薄っぺらな紙のうえに擬似的に空間を再現しているに過ぎないことを強調する結果となっていた。あるいはパソコンのモニター画面を撮影した作品では、作者にとってそれがもはや仮想ではない”現実”との対面であることを示していた。これらの作品から伝わってくるのは、我々の生活がいかに媒体化された平面に依存しているかである。しかも作者はこのアイロニカルな作業を、写真に対する深い信頼に基づいて行っていた(画面に漂うそこはかとない情緒に、作者の写真に対する偏愛の現れを感じた)。これらは写真の限界を写真によって乗り越えようとする試みであるようにも思えた。
さて、今回の作品である。まだ実見していないので何とも言えないが、本人の言葉を聞く限り、写真の物質性(数量)に関する作品であるようだ。前回とは対照的な論点である。どんな作品が飛び出すのか、今から楽しみである。
鷹野 隆大
■ 作家コメント
山に関連するデータを保存していたハードディスクが上限を超えた。
山の画像や情報の集積があふれた空間の中に、存在するはずもない山そのものの重さを感じた。
溶岩が積み重なって山の形を成すように、様々な場所で撮影された山がその小さなハードディスクの中に積み重なり、実際には存在しない新たな山を作り上げている想像をさせた。
仮想の山には形も場所も無い、しかしそれを知覚するための方法を作りたいと思った。
写真にする事で仮想の山に形を与え、実在の山やデータと比較する。
行程を繰り返すことで、存在しない地表に形を与え山の輪郭を決定する作業は、まるで測量のようだ。
吉田 志穂
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku(ユミコチバアソシエイツビューイングルーム新宿)
http://ycassociates.co.jp/
東京都新宿区西新宿 4-32-6 パークグレース新宿#206
tel:03-6276-6731