EXHIBITION | TOKYO
浜口タカシ(Takashi Hamaguchi), 平田実(Minoru Hirata), 細江英公(Eikoh Hosoe), 大辻清司(Kiyoji Otsuji)
「Perfomance/Documents」
<会期> 2016年12月3日(土)- 12月22日(木)
<会場> Taka Ishii Gallery Photography / Film
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、12 月 3 日(土)から 22 日(木)まで、グループ展「Performance/Documents」を開催いたします。写真はその黎明期より舞台芸術などパフォーマンスの分野と密接な関係にあり、また多くの作家が「撮る・撮られる」という写真行為自体に含まれるパフォーマティブな要素に意識的な創作を行なってきました。こうした写真とパフォーマンスの関係は、カメラの普及やデジタル・情報技術の革新により更に多様性を深めており、本年、イギリスの Tate Modern において「Performing for the Camera」と題された展覧会が開催されました。本展では、Tate Modern の展覧会にも名を連ねた大辻清司、平田実、細江英公らの作品、そして報道写真家・浜口タカシの作品、合わせて約 16 点を展示いたします。
戦後、パフォーマンス・アートが芸術ジャンルとして確立する過程において、作品の記録として写真は重要な役割を果たしました。記録されることを必ずしも念頭に置かず制作され、また偶然性や一過性を積極的に受け入れるこれらの「行為の作品」に対し、写真家はそれらをどのように切り取るかに腐心し、被写体と撮影主体との間には芸術的交感が生じました。『藝術新潮』誌の嘱託カメラマンであった大辻清司は、1956年、東京の小原会館で開催された「第2回具体美術展」を撮影しました。その写真群は、絵画表現を超えた具体美術作家らの活動の展開を後押しし、またその活動の先駆性に対する国際的な評価の形式に決定的な役割を果たしました。同様に、平田実はフリー・フォトジャーナリストとして1960年代の前衛美術家たちの活動を追い、写真に収め続け、雑誌に写真記事を売り込み、時にはテキストも執筆しました。これらの写真はしばしば彼らのパフォーマンスに関して現存する唯一の記録となると共に、こうした写真家のパフォーマンス・アートへのコミットメントは、単なる記録の域を超え、それ自体が作品としての魅力を備えています。
(……)平田は Art in Action のために、行為直後の、そして永続的な〈第二の人生〉(アフターライフ)を作り、〈共生的な主体〉として機能したのである。
富井玲子「平田実の《ACTION, the 1960s》−〈フォトアート〉の理論的考察」、平田実『ACTION, the 1960s』、
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム刊、2014年、p. 59
こうした写真とパフォーマンスの関係に新たな展開として生じたのが、写真家と被写体のコラボレーションであると言えます。それまでは眼前に生じるパフォーマンスへ介在する形で写真家が存在していたのに対し、コラボレーションにおけるパフォーマンスは写真家とそのカメラのためだけに行われます。細江英公は 1971 年のシリーズ「シモン 私風景」において、人形作家であり俳優の四谷シモンをモデルとし、東京の戸外のあらゆる場所で撮影を行いました。劇場の枠組みの外に役者を配し撮影された写真群は、一編の映画を編むように構成されています。
一方、報道写真家の仕事は、写真家の在・不在を問わず生ずる事件の伝達手段として、長らく前述の作品群とは区別されてきました。浜口タカシは 1950 年代より社会的・政治的闘争、そして主要な事件や歴史的ターニング・ポイントをカメラに収めました。浜口の関心は単なるルポルタージュに留まらず、社会に生起する諸問題の本質に向かっています。その写真は日々消費されるイメージとは一線を画しており、見る者に人間が人間らしく生きるためにはどのようにあるべきかという問いを投げかけます。また、ある事件や運動について、その生成から終焉までを長期間をかけて克明に記録した写真群は、折々の論説や主義主張を超え、時代史的な魅力をも備えていると言えます。
Taka Ishii Gallery Photography / Film(タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム)
https://www.takaishiigallery.com/jp/
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
tel:03-5575-5004