EXHIBITION | TOKYO
「MATTER(s)」
<会期> 2024年6月8日(土)- 7月7日(日)
<会場> ANOMALY
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
*7月6日(土)は20時まで開廊
*Tennoz Art WeekとTokyo Gendai開催中のため、7月7日(日)もオープン
ANOMALYでは、2024年6月8日 (土) から7月7日(日) まで、9名によるグループ展「MATTER(s)」を開催致します。
本展タイトルの「matter」という語には、多くの訳語があります。「物質」「事柄」や「問題」「重要」、複数形になると「状況」「事態」といった訳になります。この語の由来はラテン語の「materia」であり、ギリシャ語では「hylē」に該当します(アリストテレス哲学の「質料-形相*」の前者にあたる語)。さらに、「materia」自身が「母」を意味するギリシャ語「mētēr」、ラテン語「mater」に由来しており、「matter」はただの物質なのではなく、何かが生まれる場であると分かります。
本展はこの「matter」の語をキーワードに構成されています。作家がいかに「matter」(物質,事柄,問題etc.) と付き合い、いかに「matter」(作品) が存在し、どんな「matters」(状況,事態etc.) となっているでしょうか。
「MATTER(s)」は、淺井裕介 (b.1981~) の作品からスタートします。淺井は土や水、埃、小麦粉、テープ、ペンなど、身近な素材を用いながら、あらゆる場所、ものに奔放に絵を描き続け、小さなドローイングから、室内を覆い尽くすオールオーバーな作品や巨大壁画まで、作品を受け止める場所や環境にしなやかに呼応するように活動しています。
小川待子 (b.1946~) はパリでの留学時に魅せられた鉱物の美しさから、「かたちはすでに在る」という考えのもと、ゆがみやひび、欠け、釉薬の縮れなどの性質を活かし、つくることと壊れることの両義性を内包した作品を生み出し続けています。
衣川明子 (b.1986~) は世界を構成する全ての生命体の奥に限りなく平等な領域が広がっていると考え、擦り付けるようにして油絵具を薄く何度も塗り重ねる手法により、ぼんやりと浮かび上がり、ゆっくりと変化を続けるような生命のイメージを描き続けています。
開発好明 (b.1966~) は、絵画、写真、映像、インスタレーションなど、表現方法が多岐にわたるアーティストですが、いずれの場合も、時代、社会に鋭い眼差しを向け、鑑賞者に自発的な考察力を促します。
高嶺格 (b.1968~) は、現代社会の既成概念や、多くの人が盲目的になっている問題を鋭い観察力のもとすくい上げ、ウィットに富んだ構成、身体を用いた表現で可視化し、鑑賞者に問いを投げかけます。
山本糾 (b.1950~) は「写真」という物質への探求から、光との出会いの場として水を主な被写体に撮影を続けています。
鉄を主な素材として制作を続ける青木野枝 (b.1958~) は空間に豊かな変化をもたらし、それらは彫刻=塊という概念を軽やかに覆します。
また玉山拓郎 (b.1990~) は、最小限の方法で空間を異化、あるいは自然 (じねん) の理を強調することで、鑑賞者の身体感覚や知覚に揺さぶりをかけます。
宇治野宗輝 (b.1964~) は、20世紀以降の大量生産・大量消費社会における「物質世界のリサーチ」を行ってきましたが、本展出品の《ライヴズ・イン・ジャパン》では作品装置が「もの」から映像という「情報」に置換されています。物質がイリュージョンへと向かう現代性、彼が言う「物質マター」を考察した最初のインスタレーションです。
*アリストテレスの自然学の中心的学説で、自然的物体は2つの本質的原理、すなわち可能的・受動的・無規定的原理としての質料hylēと、現実的・能動的・規定的原理としての形相morpheによって構成されていると説く(『自然学』『形而上学』)。(ブリタニカ国際大百科事典より)
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