レオナルド・ダ・ヴィンチのモナ・リザをめぐる謎は数多くあるが、そのうちのひとつとして挙げられるのが、なぜモナ・リザには眉毛がないのかということである。これまで何人かの研究者は、この時代の裕福な女性にとって眉毛を抜くことは一般的な習慣だったという見解を示してきたが、この度、240メガピクセルのカメラを使った研究によって新事実が判明した。
ダ・ヴィンチは、実は眉毛を描いていたのだ。
絵のレイヤー間の微妙な光も検知するカメラを使って分析を行ったパスカル・コッテ氏によると、ダ・ヴィンチは眉毛を描いていたと思われるとのこと。それならば眉毛は一体どこへいったのか?コッテ氏曰く、500年という長い歳月の中で、修復を施しているうちに眉毛を洗い流してしまった、あるいはダ・ヴィンチが使用した釉薬が原因で化学反応がおこり消えてしまったことが考えられる。
眉毛を失うだけでも十分一大事である。しかしモナ・リザは眉毛以上にいろいろなものを失ってきたようだ。愁いを帯びたバックの灰色の空は元々青く、肌の色は現在のような黄色い汚れは一切見られない透き通るような白色だった。何よりも、彼女自身の顔も、あの謎めいた微笑みも現在私たちが見ているものよりも幅があったという。ダ・ヴィンチが描いたその肖像は、時間によって剥ぎ取られてしまったようだ。
コッテ氏の調査結果は、14日からイギリス・マンチェスターの科学産業博物館で開催されている展覧会「The Secrets of the Mona Liza」のメインとして展示されているが、問題のモナ・リザは一緒には展示されていない。彼女はこれ以上の変化を避けるように、パリのルーヴル美術館に座り続けるだろう。
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