この度、メグミオギタギャラリーでは名古屋を中心に活動するアーティストPITSの新作個展「Dreams」を開催致します。
1980年生まれのPITSは、2005年よりストリートにてグラフィティ活動を開始しました。ステンシル技法を用いスプレーにより描く彼は、世界各地で同時多発的に発生したグラフィティムーブメントの中の重要な一人として考えられています。2015年からは海外での展示にも積極的に参加、文化の異なる地域においても力強いメッセージ性により多くの観客を魅了しました。
バンクシー、バスキアやキース•へリングに代表されるグラフィティアートの根底には、反権力、反戦など社会的•政治的なテーマが流れています。
自身も自らを「PITS」(「PIT」とはひどい状況、きたない場所、地獄等の意味)と名のり、現代社会の不誠実さ、無批判に一見平和であるという状況を妄信する日本の状況に対し、揺り動かすきっかけを作品を通して提示しています。
一方で、室内に飾ることを意識したペーパーワークやカンバスワークを制作するなど、メッセージ性と心地よさを持って受け入れられるインテリア性のバランスを考慮しており、また緻密なステンシルの表現は日本における崇高なものづくりの精神をも感じさせます。反体制的象徴でもあるパンクの精神と物質世界との境界でバランスを取りながら生きる同時代の人々のリアリティを、PITSの作品は含有しているのです。
今展では「Dream」をテーマに、平和や愛に対する夢に思い巡らす少年、またポップアートを代表するキャンベルスープ缶のイメージを用いた作品など、新作約32点で壁を埋め尽くします。
現代社会の巨大な消費文化の中においては、あまたの商品やイメージが擦り切れ消費されてきました。アートもまた、ファインアートと大衆文化の境界の消失を鑑みれば同様の事といえるでしょう。
しかしそれでも反体制的視点と消費文化的視点の抜群の均衡を有したPITSの作品は、マスの目に晒されながらもその荒波をいなし、変わる事なく存在し続けるに違いありません。
奇抜さ、ビジュアルのかっこよさのみに覆われた消費文化のアートの中へ果敢に飛び込むPITSの新作個展「Dreams」にどうぞご期待ください。
〒104-0061 東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F
TEL: 03-3571-9700