詠士の書は、かれの強烈な主張と思想を思い合わせながら眺め、そこから鋭く光芒を放つ神意を汲みとるべきである。
表現された烈々たる一幅の書の底に、人類に向かって人種平等を叫ぶ地上最大の巨体が横たわっていることを知っていただき、
改めて詠士すなわち宮島大八の書を、心眼をもって見据えていただければ、わたくしの駄文も、
もっていささか瞑すべきであると思っている。
木村東介『宮島詠士-詠士書道とわが審美異説-』より抜粋
今回は宮島詠士展を開催致します。掛軸他、墨蹟約30点を展示ご紹介致します。
是非ご高覧下さいませ。
宮島詠士(みやじまえいし)
1867年山形県米沢市生まれ。11歳の時勝海舟の門に入る。
21歳で榎本武楊、副島種臣らの見送りのもと中国に渡り、大儒、大書家である張廉卿に入門。
経義、文学、書法について研究する。帰国後、東京帝国大学文学部講師をして、自宅にて詠帰舎を設け、中国語を教授する。
ベルサイユ講和会議の日本全権牧野伸顕に人類平等の提案を進言し、自らも平等や、
弱小民族の意識を高めるため強烈な主張と思想を書に表現した。『北京官話急就篇』総訳を刊行。
1943年77歳にて没。
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